10:05-11:05
キーノートセッション
「計算機視覚技術:人工知能の古くからの問題と新たな可能性」
米国・カーネギーメロン大学 ロボット研究所 ワイタカー記念全学教授
金出 武雄 氏
講演概要
スマホから監視カメラまでその生み出す画像データ量は膨大なもので、その伝送・保存・記録などの処理技術は注目をあつめている。一方、画像の内容を理解するためには、画素の値の物理的意味、点・線・領域といった画素の集まりと物体との対応のとり方、そしてそれら全体を意味ある解釈に帰着させる知識をどう計算機で表現し、使うかという課題が中心となる。この計算機に「目」を持たせる計算機視覚は、人工知能の最も初期の時代から試みられた問題であり夢であった。人には易しく見える視覚認識もそれを計算機によって自動的に行うことは最初に考えられた以上にはるかに難しいことがわかってきた。しかし、今日、視覚のモデリング、強力なデータ処理能力、新しいセンサー、学習アルゴリズムの発展が相俟って、古くからの問題の新しい解法、あるいはまったく新しい応用といった爆発的な展開がはじまりつつある。この講演では、計算機視覚研究の歴史的な視点と起こりつつある新たな可能性を議論する。
プロフィール
1974年京都大学で工学博士号取得後、同助手・助教授を経て、1980年に米国カーネギーメロン大学に移る。1992~2000年世界的に有名な同大学ロボット研究所所長。1998年よりワイタカー記念全学教授の称号を持つ。コンピュータビジョン、マルチメディア、そしてロボット工学において先駆的研究に取り組む。主な研究成果には、1981年発表のMPEGなど動画像処理における最も基本的アルゴリズムとされるLucas-Kanade法、1995年に最初にアメリカ大陸横断した自動運転車Navlab 5、2001年のNFLスーパーボウルで採用された30台以上のロボットカメラで270度の視野の映像を撮影するEye Visionシステム等がある。受賞歴としては、京都賞、フランクリン協会バウアー賞、C & C 賞、大川賞、立石賞特別賞、ACM Allen Newell賞、IEEE Robotics and Automation パイオニア賞、国際計算機視覚会議ローゼンフェルド生涯業績賞、船井業績賞、人工知能学会業績賞など。米国工学アカデミー外国特別会員。
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