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データサイエンスアワード2017 最終プレゼンテーション
「ビッグデータを活用したリチウムイオン電池の性能設計・検証プロセスの構築」
株式会社 本田技術研究所
四輪R&Dセンター 第5技術開発室
川村 雅之 氏
講演概要
昨今の環境問題を受けて、自動車における電気自動車やハイブリッド車等の電動車の重要性が増している。電動車の動力源はその大半がリチウムイオン電池(LiB)であり、車両の性能、重量、コストへのインパクトも大きい。上記の背景から、LiBを高性能・高信頼性・低コストで開発するニーズが以前より高まっている。
ホンダでは、電動車搭載LiBの市場での使われ方や性能のデータを取得している。LiBは使用や経年で劣化するが、市場のLiB性能の確率分布推移を算出可能な統計モデルを世界で初めて構築した。また、そのモデルと市場ビッグデータを融合し、市場実態に即したLiBの性能設計・検証プロセスを構築した。
本手法により、高い信頼性を維持しながら、LiBのコスト改善や性能向上が可能となった。環境問題解決への大きな成果であると同時に、ビッグデータを製品の性能設計や検証に活用する業界の先例となる成果である。
プロフィール
2010年 東京大学大学院 理学系研究科 天文学専攻 修士課程修了。
同年 本田技研工業 株式会社 入社。
2011年 Hondaの研究・開発を担う株式会社 本田技術研究所に異動。
以降、電気自動車やハイブリッド電気自動車に搭載するリチウムイオン電池の劣化推定手法や状態検知制御等の研究・開発に従事。