流通業でデータサイエンティストが活躍するためにはわかりやすく相手の心に響く事例を示せ
生活雑貨から食品、家具、家電まで約7,000品目をラインアップしている「無印良品」。同ブランドを展開する良品計画のWEB事業部では、ソーシャルメディアや自社サイト、メールマーケティング、アプリケーション開発などを通じ店舗送客施策を実施してきた。さらに2013年5月にはスマートフォンアプリ「MUJI passport」をリリース。デジタルマーケティング戦略を強力に推進している。今回は、エンジニアとして「MUJI passport」の企画・開発・運営に携わり、同時にデータサイエンティストとしてデータ分析も担当するWEB事業部 濱野幸介氏に、同社のデジタルマーケティング戦略と流通業界におけるデータサイエンティストの役割について伺った。
今回のキーパーソン
濱野 幸介 氏
2000年アクセンチュア株式会社入社。主に小売・流通業のIT戦略策定、業務改革、基幹・CRMシステム導入等のプロジェクトに従事。
2009年株式会社リヴァンプに入社後、小売・流通業の基幹刷新・マーケティングシステム導入を推進。
2013年より株式会社良品計画にてMUJI passportの企画・開発・運営、及びデータ分析を担当。
ビッグデータ活用のポイント
- 実例を積み上げ、社内に効果を認知してもらう
- 経営者や店長、商品担当者など、それぞれの立場で使いやすい仕組みを用意する
- わかりやすく相手の心に響く事例を示し、理解を深める
顧客の関心および関係性を維持するため、スマートフォンアプリを開発
早くからデジタルマーケティングに取り組んできた良品計画。現在MUJI DIGITAL Marketing 3.0と称して、ソーシャルメディアの活用や最新のデータ分析を通じ、デジタルによる店舗送客や売上向上に役立てている。このデジタルマーケティング戦略を推進しているのが、WEB事業部である。
WEB事業部では、ネットストアの売上向上は当然のことながら、売上の9割を占める店舗送客へいかに貢献するかを命題として、さまざまな取り組みを進めてきた。その一環に、デジタルメディアを用いた顧客とのコミュニケーションがある。具体的には、Facebook、Twitter、mixi、LINEなどのソーシャルメディアや、自社サイト、メールマーケティング、アプリケーション開発等を通じて店舗送客施策を実施してきたという。
「しかし効果は局所的・部分的なものにとどまり、全店舗をサポートするまでには至らず、売上に直結しにくいという課題を抱えていました」
そこで同社は、実店舗にも直接かつ継続的に効果を与えることのできる、お客様とのコミュニケーションツールが必要と考え、2013年5月、スマートフォンアプリ「MUJI passport」をリリースした。このアプリはポイントカードに加え、ニュース配信、商品検索、店舗検索、店舗チェックインなどの機能を備えている。
「MUJI passport」の目的は3つある。