2024.04.22

【イマドキのデータサイエンティストに迫るvol.1 前編】

【イマドキのデータサイエンティストに迫るvol.1 前編】

データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。

企画の第一弾は、株式会社分析屋の古手 渉氏のインタビューをお送りします。

株式会社分析屋 古手 渉 氏 (28歳)

新卒入社・データサイエンティスト歴6年目・

プロジェクトマネージャー 

※株式会社分析屋の採用情報はこちら

−株式会社分析屋でデータサイエンティストをされている古手さんにインタビューをさせていただきます。早速ですが、古手さんはデータサイエンティストになって何年目ですか? 

古手さん: 新卒で入社し2023年で6年目で、現在28歳です。 

 

学生の時はどのような学部で学んでいましたか? 

古手さん: 経営経済学部でした。そこでは経済の領域を主としていて、株価の予測の関連分野を中心に学んでいました。その時に統計を学び、Rを使って分析をしていました。しかし、実際に業界に入ってみるとRは全く使っていなかったです。 

 

−以前はRが主流でした。しかし、現在はあまり見かけませんね。ところで、プロジェクトではどういった役割を担当していますか? 

 古手さん: 現在、私はプロジェクトマネージャーの立ち位置で、4つの案件を担当しています。チームは大きいもので78名、小さいものでは1名を抱えています。計画や分析の設計は私が行い、実行や結果の解釈はチームメンバーに任せて、私が総括を行っています。 

 

−それら4つの案件は業界やテーマが異なりますか? 

古手さん: はい、多岐に渡ります。物流、運輸や製造など、業界はさまざまで、開発もあります。扱っているデータもセンサーデータからビジネス的なデータまでさまざまですね。基本的にはデータ分析に関わる業務となります。業務には、主として3種類ありまして、データ分析基盤の構築、②AIシステムの運用保守、③AI構築のPoCとなります。 

 

−AI構築のPoCとは、具体的にどんな作業を指しますか? 

古手さん: 主に自動化を目的にするものでして、製造メーカーの品質保全の検査をAIで代替するようなものがあります。例えば、センサーを用いて、製品にひび割れがないかを波形データで判定する異常検知ですね。データ取得の期間が長く、異常データを作るのもかなり大変なので、データ計画からクライアント企業と一緒に練らせていただいて、年単位でPoCを行っています。

 

 しかし、期間の半分は計画やデータ取得に費やしているような形になっています。逆にAIシステムの運用保守や需要予測は毎日行っています。 

 

−ご自身でデータを扱うことはありますか?  

古手さん: 機会は少なくなってきましたが、緊急時やエラーが発生した時に、メンバーで切り分けが難しそうであれば、私が対応しています。 

 

−案件の提案や価格交渉なども行っていますか? 

古手さん: はい、45年目にPoCをひたすらこなすチームを持たせてもらい、そこでは営業をしていました。提案・見積もり・価格交渉、加えてクライアントの稟議を通すための資料作成などをやりましたね。 

 

−新規のクライアントに提案する場合、どのくらいの勝率で案件の獲得できますか? 

古手さん: 案件の性質にもよりますね。提案の中でも実効性のあるものやクライアントの温度感というのもありますし、ざくっとした課題を提示される場合もあります。AI構築のPoCだと大体20分の1ぐらいの勝率ですかね。 

 

−入社する前に想像していた業務内容と、入社後の違いはありますか?  

古手さん: 大きく違いますね。学生の頃は、もっとプログラミング中心や機械学習エンジニアの業務を想像していました。しかし、入社してからは、相手に伝えること、データの可視化やパワーポイント、エクセルでの説明など、コミュニケーションが重要になってきました。意外とコードは書いていないなという印象ですね。 

 

−入社してから、驚いた経験はありますか? 

古手さん: 入社当初、脳波解析の案件に関わったことです。新製品の脳波の取得機器を用いたので、どんなデータが取得できるか分からない状態で、データ取得の試験官をやりました。クライアント先で、毎日朝から晩まで計測をしていて、こんな業務の担当になるなんて想像していなかったのでびっくりしました。 

 

−医師ではないのに脳波を見るというのは不思議ですね。 

古手さん: 私はまだ新人で、分析は行わず、ただ記録を取るだけだったので、衝撃を受けましたね。 

 

−クライアント先に行くことは多いですか? 

古手さん: 現在の案件は主に受託で、本社での作業が中心です。たまにデータ取得や機器設置のためにクライアント先に行きますが、大部分は本社での作業となっています。 

 

−チームメンバーも本社での作業が中心ですか?  

古手さん: 基本的には本社で作業ですね。日次で動いているシステムがエラーを起こした場合などに、情報の伝達ロスを最小限に抑えるためです。

 

 ただ、安定している時期とそうでない時期があるので、安定している時期はリモートワークで、安定していない時期は本社で勤務しています。平均的には週3日は本社、週2日はリモートという感じです。 

 

チームメンバーの選定は、アサインしたい方をある程度、相談して決めることができるのでしょうか? 

古手さん: そうですね。どのメンバーを選べるかがリストアップされるので、上司と相談して決めています。もちろん、本人との相談が必要な場合もあります。 

 

−選定基準は、任務を達成できるか、または特定のメンバーを選ぶことで、より高い見積もりが出せるか、というところでしょうか? 

古手さん: そうです。効率よく仕事を進めるために、加えて単価や件数の増加を狙っています。また、コミュニケーションを非常に重視しています。クライアントやチームメンバーと会話をしながら進める場面が重要になっていくので、チーム内の雰囲気や問題を解決する力を見て、波長が合うメンバーを選ぶようにしています。

 

 また、案件によってはメンタルが強いメンバーを選ぶこともありますね。基本的には面白く実りある案件が多いので、メンバーが抜けることが少ないです。 

 

ご自宅は会社から近いですか? 

古手さん: はい、本社から徒歩15分くらいです。 

 

−近いですね。本社付近に住んでいるチームメンバーが多いですか? 

古手さん: 8割くらいは近辺に住んでいます。ただ、埼玉県や千葉県のメンバーもいますね。通勤時間がかかる場合は、本社近辺に引っ越しをするメンバーもいます。 

 

−業務の満足度はどのくらいですか? 

古手さん: 10点満点ですね。最初はデータを使って分析をするという考えで分析の業界に入りました。だけど、データがないと何も始まらないので、上司と一緒にクライアントへプレゼンするなど、営業的な動きもしていました。

 

 データの整理や分析基盤が必要ということを伝えて、その案件をいただき、自分でも知識や技術を身につけていきました。今となってはストーリーもあって、いい経験をしたと、すごく満足しています。 

 

−入社してから、どんなスキルが身についたと感じますか?また、まだ足りないと感じるスキルはありますか? 

古手さん: 身についたのはハードスキルですね。例えばプログラミングやツールを使いこなすところはすごく身につきました。

 

 足りないと感じるところはビジネススキルですね。クライアントのビジネスを理解し、利益構造の把握をした上で、最適な分析の基盤構築やデータ分析を提案しなくてはいけないので、ドメインの知識やビジネスの基本のキみたいなスキルが足りないと思います。これは上流工程になればなるほど、力不足感が否めないと思っています。

 

 もう1つは説明する力ですね。上流工程に関わっていくにつれて、上層部のレイヤーと関わることが増えていきます。それに従って分かりやすく端的に伝える、論点を整理して的を得たものを伝えるというところですごく苦心しています。今後、より洗練して磨いていこうと思っています。 

 

−この6年の経験を振り返って、スキル獲得の満足度はどうですか? 

古手さん: 非常に高いですね。私的な時間はほぼ勉強に費やしてきたので、行けるところまで行ったんじゃないかと思います。

 

 大学時代に関わったのは統計で、ビジネス的な分析は触れていなかった分野でしたので、大学時代からフリーランスでも何でも構わないので、この業界に飛び込んで怒られながらでも分析案件をやっておけば、もっと成長できたんじゃないかなと思っています。 

 

−社内で厳しく指導をしてくれる方はいますか? 

古手さん: はい、代表や副代表ですね。営業や資料作りなどを指導いただいています。 

 

−代表や副代表との関わりの頻度はどれくらいですか?  

古手さん: 代表とはよく一緒に営業に行っていたんですけど、現在は2カ月に1回程度ですね。副代表とは週1回程度、案件の状況や方向性について話し合っています。 

 

インタビュー: 
 データサイエンティスト協会 企画委員会 
  株式会社GRI 上野・小林
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