2025.09.11
Data of Data Scientist シリーズ vol.72『26%-社内の異動・育成によりデータサイエンティストを獲得した企業の割合』
今回は、2024年11月に開催したデータサイエンティスト協会11thシンポジウムにおいて実施した企業向けの採用に関するアンケート調査から、企業はデータサイエンティスト人材をどこから増強しているのかについて考察したいと思います。
調査・研究委員会が実施している別の調査においてデータサイエンティスト(以下DS)の認知度はかなり高まっていることが分かっており、今回の調査においてもDS人材を1名以上雇用している企業が8割以上という結果が出ています(調査対象はシンポジウム参加企業のみのため注意)。また、すでにDSを雇用している企業は直近1年間で新たに平均9.6人増員させており、各社においてDSの活躍が期待されていることがうかがえます。では、各社はどこからデータサイエンティストを増強してきているのでしょうか。
調査結果では、中途採用38%、新卒採用36%と外部からが7割以上となっている一方で、社内の異動・育成が26%と一定数あり、今回はこちらについて着目してみました。
「今後採用・育成したいDS人材像」と「現在、所属しているDS人材像」の2軸でヒアリング内容をプロットした結果、「既に充足するが、さらに増やしたい人材」として、統計やAIなどのデータ分析に関する「理論」に詳しい人材が求められているようです(※1)。そしてここに該当するのが上図の中途採用、新卒採用であると考えられます。一方で「充足してないが、増やしたい人材」としては、ビジネスとサイエンス両面に精通した人材が該当しており、社内の異動・育成によりDSになった人にはこの分野が期待されているのだと考察されます。
実務におけるDSの業務は単にデータを集計したり、分析したりするだけではなく、それらから得られたインサイトをもとに施策を企画立案することも多々あります。他部署で既に培ったビジネスの感覚をベースに、サイエンスの知識を武器にステークホルダーを巻き込んでいく人材も企業から求められているといえるでしょう。当協会スキル定義委員会で定めた3つのスキルセット(ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力)を念頭にそれぞれの強みを伸ばしていくことで、組織や社会に貢献できる存在へと成長していくことが期待されます。
本記事では、企業はDS人材をどこから増強しているのかについて考察しました。各人がそれぞれの役割を担い、チームとして課題解決していくことが、データ分析の成功のカギなのかもしれません。今後も様々な情報を皆様にお届けできるよう、データサイエンティスト協会は引き続き活動を続けてまいります。
データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 神田晋一郎氏
※1) Data of Data Scientist シリーズ vol.67『63%-統計やAIなどのデータ分析に関する「理論」に詳しい人材を、採用・育成したい企業の割合』: https://www.datascientist.or.jp/dssjournal/dssjournal-4075/
データサイエンティストの採用に関するアンケート(2024年調査)
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