2025.10.28

Data of Data Scientist シリーズ vol.74『37%-データサイエンティストが業務に満足している割合』

データサイエンティスト協会では、一般(個人)会員向けのアンケートを毎年実施しています。今回は、2024年12月に実施した最新の調査結果をもとに、データサイエンティストの業務満足度について考察します。

一般(個人)会員向け2024年調査結果:https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-3953/

データ分析業務に従事している人に対する調査結果では、30代の業務満足度は42%であり、他世代よりも高いのですが、2023年調査から15ポイント減となっています。その分、満足していない割合は47%となり25ポイント増加しています。

30代はキャリアの中堅に差し掛かり、自身の3つのスキルセット(ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力)も充足して後進の育成にとりかかる時期を迎えているデータサイエンティストが多くいると考えられます。
現状に充実していると捉える方がいる一方で、比較的新しい職種であるデータサイエンティストでは、明確なキャリアパスや目指すべきロールモデルが確立されていないという課題も多くあるようです。
下図は、スキルアップを考える際の困りごとの回答結果ですが、「手本になる人が周囲にいない」と回答している30代は79%と、他世代と比較して突出しています。

別の設問では、データサイエンティストという仕事に将来性を感じている割合は、10・20代が最も高く91%(どちらかというと将来性を感じる、を含む)である一方、30代では71%であり2023年調査から2ポイント減という結果となっています。
周囲にロールモデルが居ないことで、管理職や専門性を突き詰めたスペシャリストといった自身の数年後・10年後のイメージが湧きづらいこと、また、近年のAI技術の進化により、求められるスキルが多様化・高度化する中で、スキルアップのための時間が確保できていない点から、データサイエンティストとしての業務を続けていけるだろうかという将来性への不安につながっていると考察されます。
キャリアアップ・スキルアップのための転職活動が盛んとなっている昨今を鑑みても、企業にとっては、キャリアパスの明確化や待遇・育成環境を充実させることが急務の課題になっていると考えられます。

 

本記事では、データサイエンティストの業務満足度について考察しました。キャリア中堅の世代である30代のデータサイエンティストが、将来への不安なく満足して業務に取り組む環境がつくられることで、今データサイエンティストへの将来性を感じている次の世代に魅力的なロールモデルを提供することに繋がっていくことを期待しています。

データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
株式会社野村総合研究所 二階堂裕美子氏

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