客観と主観を組合せ、統計コミュニケーションを駆使しよう ~Preferred Networks丸山宏氏インタビュー〜

      2016/10/14    - DS関連News, インタビュー ,   執筆者:スキル委員菅由紀子

IBM、キヤノン、統計数理研究所での勤務を経て、現在は株式会社Preferred Networksの最高戦略責任者としてご活躍されている丸山宏氏にお話をお伺いしました。

丸山宏氏(略歴)
1983年 東京工業大学修士課程修了
同年日本アイ・ビー・エム入社
ジャパン・サイエンス・インスティテュート(後の東京基礎研究所)にて,人工知能,自然言語処理などの研究に従事
1997-2000年 東京工業大学 情報理工学研究科 客員教授 XML,Webサービス,及びセキュリティの研究・開発・標準化を行なう
2003-2004年 IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社へ出向
2006-2009年 東京基礎研究所所長。執行役員
2009-2010年 キヤノン株式会社 デジタルプラットフォーム開発本部 副本部長
2011-2016年 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所 教授
2016年4月から、株式会社Preferred Networks 最高戦略責任者

--- 現在の主な研究内容をお聞かせください。

丸山: 現在はPreferred Networksという会社に所属し、機械学習および深層学習が、社会をどう変えていくか、テーマを主に考えています。実はこの研究テーマは、統計の分野とコンピュータサイエンスの分野のどちらかだけでは難しい領域です。統計的機械学習の分野は、確率的なアルゴリズムに依存して作られています。これは、統計の分野では当たり前なことですが、今日のコンピュータサイエンスの分野では、確定的なアルゴリズムが主流となっているので考え方が異なるのです。例えば、銀行の利息が、確率的に変わるということは許されるはずもなく、確定的な計算をするアルゴリズムが必要になります。そこで、確定的な計算を求める領域において、機械学習や深層学習といった確率的なアルゴリズムをどのように活かしていけるかという点が現在考えている領域です。

またPreferred Networksでは、TOYOTAやファナックなどの企業から出資をうけており、深層学習とIoT(Internet of Things)を組合せて何ができるかということを考えています。組み込み開発やロボットの開発などの場合、MATLAB Simulinkというツール等を使い、微分方程式を用いてモデリングをし、実装していくのが一般的です。一方で、機械学習を用いると、強化学習で成長させていく方法を取るので、先ほどのやり方とは根本的に異なってきます。現在の自動車開発では、R&Dの分野における組み込みソフトウェアの占める割合は年々増加してきていると言われている中で、統計的な機械学習や深層学習は十分に利用可能なものであり、その領域を深層学習で自動化できるようになれば、世の中に大きな影響をおよぼすことになるだろうと考えています。

 

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