現場と一緒に価値を創り出す ~NEC相馬知也氏インタビュー~

       - インタビュー   執筆者:スキル委員孝忠大輔

NECのシニアデータアナリストとしてご活躍されている相馬知也氏にお話をお伺いしました。
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相馬知也氏(略歴)
自営網統合ネットワーク運用管理システムのアーキテクチャ設計・開発の責任者としてプロジェクト管理・顧客折衝を経験し現在に至る。日本初となるA電力向け 自動検針システム(現在のスマートメータ)の初期アプローチから整備計画/データ活用コンサル、アーキテクチャ設計の責任者として活動。2010年10月よりインバリアント分析のプラント適応研究開発を開始。原発プロジェクトにてデータ分析・PJリーダを担当・遂行。主に国内、海外の発電プラントを中心にインバリアント分析※1の適用を支援。

Q. 現在の主な業務内容をお聞かせください。特に、棟梁データサイエンティストとしての活動内容をお聞かせください。

相馬:お客様と一緒になって、製造現場や生産現場で生まれたデータに価値を付ける活動を行っています。これまで、発電プラントや製造プラントを対象としてデータ分析技術の適用を中心に行ってきました。最近は、システムインテグレーションの前段階であるアプローチ部分を重点的に実施しています。データ分析は、データがあって始めて成り立つ仕事ですが、
お客様を訪問してみると、そもそもデータがない事も少なくありません。どうすれば新たなデータを取得できるのか?という観点も交えながらお客様と日々検討を行っています。

Q. データ活用に携わるようになったきっかけ、そこから棟梁データサイエンティストに至るまでの歴史をお聞かせください。

相馬:元々は、発電所で使うシステムの構築を担当するシステムエンジニアとして活動していました。長い期間、発電所のシステム構築に関わっていく中で、お客様がリクエストしたものだけではなく、自ら考えたシステムを作りたいという思いが強くなりました。そんな中、発電所の膨大なセンサーデータを10ミリ秒間隔で蓄積/監視するというシステム開発に関わり、ビッグデータを扱う機会が増えるようになりました。タイミングを同じくしてNECの研究所で「いつもと違う」動きを検出できるインバリアント分析技術が開発され、この技術を発電所のセンサーデータ活用に適用してみようと考えたことがきっかけでデータサイエンティストとして活動するようになりました。

Q. データサイエンティスト(棟梁)としてデータ活用に携わるには、どのようなスキルが必要だと考えますか?そのスキルを習得するに際して、どのようなことを行われましたか?工夫したことや苦慮したことなど、何かエピソードがございましたらお聞かせください。

相馬:棟梁データサイエンティストとしては、お客様と信頼関係を築くことが必要不可欠なので「コミュニケーションスキル」が非常に重要と考えています。もちろんベースとなる統計知識も必要だと思いますが、統計に関する知識は勉強すれば身に付けることができます。一方、コミュニケーションスキルには経験が必要となります。常に心がけているのは、相手の目線に立って、相手の言葉でしゃべるということ。現場の方々と信頼関係を築くためには、相手の言葉でしゃべらないとわかってもらえません。コミュニケーションスキル以外だと、データに対する感度/データの意味合いを抽出するスキルが重要と考えています。データを見た時に、パッと「何か変だ。いつもと違う」と気付くことができれば、そこからデータの不備や、新たな仮説の種を見つけることができるようになります。データに対する感度を高めるためには、データサイエンス力だけではなく、物理学や自然科学など様々な知識が必要となります。もちろんお客様の業務内容を理解することも必要ですので、わからないことがあれば、恥ずかしがらずお客様に聞くことも重要です。IT(Information Technology)と違って、OT(Operational Technology)の現場の方は教えることが好きな方が多いので、素直にわからないと言えば丁寧に教えて頂けることがほとんどです。
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Q. ご自身の活動の今後の発展性/方向性/新たなチャレンジなどがございましたらお聞かせください。

相馬:データサイエンスやAIに縁のなさそうな所で、価値を発揮して行きたいと考えています。これまで手が付けられていなかった領域であればあるほど、お客様が楽になるチャンスが多いと考えています。また、AIの海外展開にも力を入れています。その際、日本で成功している分析モデルを海外に持って行くという考えではうまくいかないと思っています。末永く価値を生み出していくためには、上から目線ではなく「一緒に創り上げる」という考え方を大切にしています。お店のカレーライスを食べるよりも、みんなでキャンプ場で作ったカレーを食べる方が美味しいように海外のお客様が自ら価値を探し出したという満足感を重視するようにしています。

Q. 最後に、棟梁データサイエンティストを目指す方(見習いや独り立ち)に高めて欲しいスキルやマインド、その他メッセージがございましたらお願いします。

相馬:好きこそものの上手なれという諺にもあるように、何か1つでも良いので自分が面白いと思うものを見つけて勉強し、そこから知識を深めて行くことをお勧めします。直接的にデータサイエンスを関係ない領域だったとしても様々な知識が積み重なって、データを多角的に見る目を養うことができると思います。

※1 インバリアント分析
https://jpn.nec.com/ai/analyze/invariant.html

■編集後記
徹底的な現場思考が、信頼されるデータサイエンティストの重要な要素であることを再確認できました。(スキル委員:孝忠)