データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。
第六弾の後編は、引き続きライオン株式会社のデジタル戦略部データサイエンスグループのデータサイエンティスト、村上晃満(ムラカミテルミツ)さんに、引き続きお話を伺います。
−御社の主力商品や事業について教えていただけますか?
村上さん: 大きく分けると日用品ですね。ハブラシやハミガキはもちろん、衣料用洗剤、食器用洗剤、ハンドソープなどもありますし、一般用OTC医薬品も扱っています。医薬品のイメージは薄いかもしれませんが、有名なもので言えば、バファリンやストッパ(下痢止め)など、多くの方が一度は聞いたことがある商品も手がけています。そういったものも、うちの主要な事業のひとつになっています。
−他にBtoBの事業もされていますよね?
村上さん: はい。たとえばグループ会社のライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社では、界面活性剤などの原料の販売を行っており、ライオンハイジーン株式会社では業務用洗剤を販売しています。
−会社におけるデータサイエンス職の待遇や仕事に対する満足度はいかがでしょう?
村上さん: そうですね、満足度は75%くらいでしょうか。
満足度が100%ではない理由としては、「こういう分析をしてみませんか?」と提案しても、必ずしもすぐに意思決定に結びつくとは限らないという点が挙げられます。そういった部分では、やや手応えが薄いこともあるかなと思っています。
−なるほど、ありがとうございます。「満足度75%」は高い水準だとも思います。満足しているポイントについても教えていただけますか?
村上さん: 意思決定の材料としてデータを活用してもらえる機会は多いですし、いろいろな部門から相談されたり頼られたりすることが多いので、やりがいは大きいですね。
他のメンバーでは、たとえば業務部門の幹部クラスに需要予測を提案して、「じゃあちょっと使ってみようか」とPoCを始めたりしています。
需要予測や財務の管理は会社にとって非常に重要なテーマだと思うので、そこに貢献できるのはとても良いことだなと感じています。
また、私はもともと研究員出身で、大学に派遣されて医学部でヘルスケアを学んできたという背景があります。
今の健診レセプトデータ分析では、そうした知識を活かせている実感があるので、そこも大きな満足ポイントですね。
さらに言うなら、新しいことにチャレンジできる雰囲気がある点も満足度が大きいポイントです。
最先端技術を試すようなワーキングのリーダーを任せてもらえたり、「こんなことやってみませんか」と提案ができる環境があるのは、本当にありがたいなと思っています。
私は新しい分野に対しても前向きなタイプなので、専門外の業務も会社にとって大事な分野だと感じ、やる気を持って取り組めています。
もっと新しいことにも挑戦したい気持ちもあり、例えば「マテリアルズ・インフォマティクス」みたいな、製品開発に関わる分野にも興味があります。成分の組成を最適化したり、効率的に製品開発を進めたり、そういうテーマにも今後取り組めたらと思っています。
−それでは次に、スキルアップについていくつかお聞かせください。入社後向上したと感じるスキルはどのようなものですか?
村上さん: 入社前はデジタルや統計の知識はまったくなかったので、そこは本当に劇的に上がったと思います。
弘前大学に派遣される直前までは、まだ研究員として実験がメインだったので帰り道にカフェに寄って、1人で統計やプログラミングの勉強をしていました。
その後、部署が変わってからも定期的に勉強会を開催したりして、幅広く知識やスキルが身についてきたかなと思っています。
ただやはり、まわりにはすごい人たちも多いので、自分もまだまだだなと思う分野はたくさんあります。
−自己学習の部分も大きかったのですね。
村上さん: そうですね。当時はまわりに同じようなことをやっている人も少なかったので、1人でコツコツやっていました。
−スキル面で、現状課題と感じている部分はありますか?
村上さん: 健診レセプトデータの分析において、因果関係を明らかにするような分析はやはり難易度が高く、そこが技術的な課題だと感じています。
あと、同僚の中には予測モデルやAIを開発しているメンバーもいるので、そういった予測の考え方やテクニックももっと学んでいきたいですね。
AIをアプリに実装する際のインフラ周りやフロントエンドの開発も、もっと理解を深めていきたい分野です。
−予測モデルは統計的な手法よりも、機械学習寄りのアプローチでしょうか?
村上さん: そうですね、どちらかというと機械学習寄りです。画像を使ったディープラーニングなどもやっています。
「おくちプラスユー」というオーラルヘルスケアの新規サービスで使われた予測モデルのAIは、私が作りました。
社内にはKaggle Masterの称号を持っている同僚もいます。彼は3年目の大卒の方ですが、そういう人たちを見ると、自分ももっと頑張らなきゃなと感じますね。
−データサイエンスに関連して、社内で推奨されている資格などはありますか?
村上さん: はい、たとえば「データサイエンティスト検定 」や「統計検定」「基本情報技術者」などが挙げられます。全ての資格を挙げるのは難しいですが、一定の資格にランク分けがあり、そのランクに応じて報奨金がもらえる制度になっています。
−これまでのご自身の成長に対する満足度をお聞かせください。
村上さん: 入社前や入社直後のことを考えると、今このような仕事をしているなど想像もしていなかったですし、それを思えば結構頑張ってきたなとは思います。
ただ、さきほどもお話したような技術的な課題もありますし、自分が持っているのはどちらかというと研究ドメインの知識なので、営業や物流といった当社特有の業務ドメインについては、まだまだ吸収できていないところが多いです。
そのような知識も強化して、もっと会社全体を見渡せるような人間になれたらと思っています。
−研究職としての面白さも、データサイエンティストとしての面白さもあると思いますが、村上さんが感じるデータサイエンティストの魅力とはどういったところでしょうか?
村上さん: 私が取り組んでいた研究はどちらかというと基礎研究寄りで、長期的なスパンで取り組む性質のものでした。
それに対して、データサイエンスの仕事は意思決定に関わったり、納期を守る開発をしたりと、結果にコミットする要素が強いです。
大変な部分ももちろんあるのですが、その分やりがいも大きい。そこが魅力かなと思います。
−福利厚生や、独自の制度などはいかがですか?
村上さん: 本社の最上階が社員食堂になっていて、バランスの良いいろいろなメニューが楽しめます。すごく美味しくてランチはかなり充実していますね。
食堂は夜になるとバーになって、お酒も飲めるようになっています。軽い懇親会などもよく開催されていて、社内のコミュニケーションにも役立っています。
−労働時間についてはいかがですか? 残業が多い、などありますか?
村上さん: 断然、時間内に終わる方です。状況によって残業するケースも少しありますが当社はフルフレックス制度を導入しているのでバランスよく働くことができます。休みもきちんと取れています。
−社内のコミュニケーションについてはいかがでしょうか?
村上さん: 非常に良好で、かつ刺激的ですね。マネージャーは40代後半の方ですが、他のメンバーはみな30代以下で、私はだいぶ年齢的には上の方にいる感じです。フランクなコミュニケーションも取りやすく、新卒やキャリア入社の人も毎年のように入ってきています。外の世界を知っている人たちが加わることで、良い刺激になっていますね。
私は在宅勤務が多いので、直接会って話す機会が少ない点が少し気がかりではありますが、
全体としては良好なコミュニケーションが取れていると思います。
−チーム外の方との交流はいかがですか? 部活動や業務外の交流なども教えてください。
村上さん: コロナ以前と比較すると減りましたが、昔の部署の人と飲みに行ったりすることがあります。
同僚は有志でKaggleなどの予測コンペに参加したりしています。他にも「会社をよくしていこう」といったコンセプトで、社外の人を招いた講演会を開いたりするような有志の活動もあります。
私はそういった社内の活動には入っていませんが、そういう場を「データサイエンティスト協会」での活動に求めているところがあります。
−仮にもう一度、新卒で就職するとしたら、どのような企業を選ぶと思いますか?
村上さん: やはり、当社のような事業会社でデータサイエンティストをやるのは面白いなと思っています。一方で、分析に特化した会社の方がスキルの向上という面では速そうですし、そちらにも興味はあります。どちらも魅力があるなと思い、迷いますね。
−ライオン株式会社に入社してよかった点や、イメージと違った点があれば教えてください。
村上さん: 一番良い点は勤務形態の柔軟さですね。残業も少なく、ワークライフバランスがとりやすいのはとてもありがたいです。
あと「ライオンは人が良い」とよく言われますが、それも本当に感じます。他部門の方との打ち合わせでも、丁寧に教えてくれたり、ホスピタリティを感じることが多いです。
逆に言えば「人が良い」がゆえに、もう少し厳しさがあったほうが業務効率は上がるかも…と思うこともあります。
仕事には概ね満足しているので、特に不満というわけではありません。
−最後にデータサイエンスを目指す方へ、メッセージをお願いします。
村上さん: データサイエンスの仕事をしていて思うのは、「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つが揃っていないと、分析だけでは通用しないということです。
業務フローや業務そのものへの関心を持ち、「今取り組んでいる分析がそもそも目的に合っているのか?」という問いを自分自身に投げ続ける姿勢がすごく大事だと思います。あとは、曖昧な概念を「これって定量化できるかな?」と考える癖をつけると、分析力だけじゃなく、思考力そのものが磨かれていくと思います。
−大変共感できます。本日はありがとうございました。
取材日:2025年5月29日
インタビュー:
データサイエンティスト協会 企画委員会
株式会社分析屋 池田
ライター:
株式会社BICP DATA 山田
株式会社Hi-Lights 清水
- カテゴリ
-
-
DS関連NEWS
-
インタビュー
-
スキルアップ
-
コラム
-
教えて!DS
-
- アーカイブ
-
-
2025年
-
2024年
-
2023年
-
2022年
-
2021年
-
2020年
-
2019年
-
2018年
-
2017年
-
2016年
-
- 記事アクセスランキング
-
- タグ
ライオン株式会社
村上 晃満 氏(ムラカミ テルミツ)・37歳
新卒入社・デジタル戦略部 データサイエンスグループ データサイエンティスト
データサイエンティスト歴:7年(2018年ごろから健診ビッグデータ分析に従事)
※企業の採用情報はこちら