2025.12.16

【イマドキのデータサイエンティストに迫るvol.7 前編】

データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。

第七弾は、ネイチャーインサイト株式会社のデータアナリティクス部データサイエンス1グループでデータサイエンティストをされている、阿部達也(アベ タツヤ)さんにお話を伺います。

ネイチャーインサイト株式会社
阿部 達也 氏(アベ タツヤ)・28歳
新卒入社・データアナリティクス部データサイエンス1グループ データサイエンティスト
データサイエンティスト歴:4 年

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−はじめに、自己紹介をお願いします。

阿部さん: ネイチャーインサイト株式会社でデータサイエンティストをしている、阿部達也です。新卒で入社し、現在はデータアナリティクス部データサイエンス1グループに所属しています。データサイエンティスト歴は4年です。

 

−大学の専攻は理工学部数学科を専攻され、新卒でデータサイエンティストとして入社されたということですが、学生時代からデータサイエンスに関連する勉強や研究をされていたのでしょうか?
阿部さん: 在学中は、いわゆる数学の「本来の部分」にしっかり向き合っていました。証明や定義を積み重ねていく考え方、筋道を立てて結論に至る姿勢、そうした基礎を大切にする時間が中心で、実はデータサイエンスに特別な興味があったわけではありませんでした。あくまで土台としての数学的な思考方法を磨いていた、というのが当時の自分のスタンスでした。

 

−データサイエンスを知ったきっかけや、仕事にしたいと思った経緯をお聞かせください。
阿部さん: 就職活動に関連する情報を探していた当時「ディープラーニング」という言葉が一般にも認知され始め、関連する話題が一気に増えていました。ちょうどその頃に自分としては、数学で培ってきた論理的な思考を仕事でどう活かすかに迷っていた時期で、「膨大なデータを分析して未来を予測する手法がある」と耳にして、直感的に面白そうだなと感じました。

その中でデータサイエンティスト協会(以下、DS協会)のホームページを見つけ、データサイエンスは自分が大学までに学んだ内容が生かせる職種だと感じたのが大きなきっかけです。数学で鍛えた筋道立てた考え方が、そのまま問題設定や仮説立案、検証の態度に結びつくのではないか、と自然に思えた瞬間でした。

 

−そうだったのですね。DS協会の情報が就職のきっかけになったと伺い、嬉しく感じています。会社の主な事業と、現在携わっているお仕事について教えてください。
阿部さん: 弊社は、主に金融・製薬・通信といった業界のお客さまに対するデータソリューションの提供が事業の大きな柱になっています。

私の直近の現場は通信業界の分析業務でした。それ以前は製薬の領域で、「薬を服用した場合の副作用発現率に関する統計分析」を担当していました。現在はそれらの分析業務に加えて、統計分析や機械学習のトレーニングの使い方をお客さまにお伝えする、いわば教育・伴走のような業務も行っています。

 

−業務の分野も活用するスキルも幅広いですね。教育の業務も行っているとのことですが、対象は、ジュニアエンジニアの方や、非エンジニアの方などでしょうか?
阿部さん: 普段エンジニアリングに携わっていない「非エンジニア」の方にお伝えするケースが中心です。

各企業の現場に入っていくと、様々な部署や現場がそれぞれ大量のデータを保有していて、「機械学習や統計分析で活用したい」という要望は多く聞かれます。一方で、外部の人員を増やすとコストがかさみますので、現場の方がある程度自走できる状態を目指して支援することが求められます。エンジニアリング特有の専門用語をかみ砕き、何から手を付ければよいかの道筋を共有して、手を動かすところまで一緒に進める。その結果、チームの内側で継続的に分析が回っていくことを大切にしています。

 

−大学で学んだ「数学」の分野も現場で生かせていると感じることはありますか?
阿部さん: 大学で学んだ統計の基礎や論理的思考は、どの現場でも通用する普遍的な力だと感じています。課題を整理し、前提条件を明確にし、誤差や不確実性を意識しながら判断していく。そうした基本的な姿勢は、今でも錆びついていないと思います。

 

−DS協会のホームページに掲載されている情報を見てこの業界に飛び込んだということですが、想像していた仕事内容と実際の仕事内容にギャップはありましたか?
阿部さん: 率直に言えばギャップはありました。

入る前は、データサイエンティストの業務は機械学習のモデルをどんどん開発していく、というイメージを持っていました。しかし実際の現場では、まず「データの扱い方」や「前処理に対する考え方」が土台になります。

特に「データの理解」ができないと何も始まりません。収集済みのデータには思った以上にノイズが含まれていたり、分析に適した形式になっていなかったりします。ですから、まず徹底的に前処理を行い、そこからモデルの改善へ進んでいく、その地道な段階が実は成果の大半を左右するのだと痛感しました。

 

−現場が変わると身につけるべきスキルも変わってきますよね。幅広い現場での苦労や、苦労をどのように乗り越えたかを教えてください。
阿部さん: 新しい現場に行くと、どの現場でもキャッチアップはやはり大変です。現場ごとに使うツールも違いますし、コーディングの作法や開発フローも変わってきます。その中に入っていく難しさは常にあります。

納期が短い案件では、迅速にキャッチアップをし、実装からテストまで一気に進める必要があります。作るものがシンプルであれば問題は少ないのですが、内容が難しく、しかも3か月〜半年といった期間でまとめ上げるケースもあります。その場合は負荷が高く、優先順位づけと集中の配分が鍵になります。


ただ、いわゆる“炎上案件”には今のところ当たっていません。どの現場に行っても困った時には、自社のメンバーに協力を仰ぎながら進められていて、雰囲気が良い会社だと感じています。

例えば通信業界のプロジェクトで、オペレーター向けに構築したモデルの精度が思うように上がらず悩んだときは、抱え込みすぎず、同僚や先輩に早めに相談しました。助言をもらい、アプローチを見直していくことで乗り越えられました。そうして壁にぶつかっても一人で抱え込まない、というのが自分の中の学びになっています。

 

−携わったプロジェクトの中で、特に印象に残っているお話はありますか?
阿部さん: 先ほどの通信業界向けモデルの話です。精度を見直していく中で、関連していたデータのうち、一般的に重要視される「お客さまのプロファイル」とは関係のないものが精度に効いている可能性があると気づいたときは驚きがありました。事前の思い込みで重視していた項目ではなく、別の情報が効いてくることもある。これはデータ分析ならではの面白さだと感じています。仮説と結果がうまく噛み合わない時にこそ、柔軟さが問われるのだと思います。

 

−現場によって変わるとは思いますが、プロジェクトのチーム体制や進め方はどのような場合が多いですか?
阿部さん: 弊社では1〜3人で対応する現場が多いです。私は今4年目で、1人で任される現場もあります。一方で、研修を終えたばかりの2年目の頃は、シニアとジュニアのペアで同じ現場に入る形が多かったです。
在宅の場合でも、チャットで双方向に相談できる環境が整っていました。経験者がいることで解決が早まり、振り返りの際にも次につながるポイントをすぐ共有してもらえる。そうした積み重ねが学びになっていると感じます。

また、一人の現場でも、詰まったときは部署内で相談します。現場外秘の関係で細かな内容は言えなくとも、「この分野ならこういう機械学習手法はどうだろう?」「こういうやり方は試した?」といったレベルで意見交換をします。また、現場の垣根を越えた勉強会を週に一度開いていて、そこで分からない手法も気軽に質問できます。逆に、周囲が大変そうなときは自分から仮説を投げたりして、お互いに助け合う雰囲気があります。

 

−現在の仕事のやりがい、満足度についてはいかがでしょうか?
阿部さん: 自己分析としては、クライアントの課題解決に直結し、成果が目に見えるところに大きなやりがいを感じます。新しい現場では新しい技術を学ぶ必要があり、学び始めの最初の一歩は少し腰が重い性格なのですが、だからこそ結果的に成長を実感できています。満足度は92〜93点くらいです。現時点の手応えとして、それくらいの数字を素直に挙げられる実感があります。

※ネイチャーインサイト株式会社の採用情報を確認する

https://www.n-insight.co.jp/recruit

取材日:2025年9月9日

インタビュー:

データサイエンティスト協会 企画委員会

株式会社分析屋 池田/新川

 

ライター:

株式会社BICP DATA 山田

株式会社Hi-Lights 清水

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