2026.03.10

【イマドキのデータサイエンティストに迫るvol.8 前編】

データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。

第八弾は、株式会社GA technologiesのAISC(Advanced Innovation Strategy Center)でデータサイエンティストをされている、嶺井麻美さんにお話を伺います。

株式会社GA technologies
嶺井 麻美 氏

新卒入社・Advanced Innovation Strategy Center データサイエンティスト
データサイエンティスト歴:3年

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−自己紹介をお願いします。

嶺井さん: 株式会社GA technologiesに2022年に新卒として入社し、現在AISCという部署でデータサイエンティストをしています。今年で4年目です。

AISC は「Advanced Inovation Strategy Center(アドバンスド・イノベーション・ストラテジー・センター)」の略で、先進技術により事業への貢献を目指す組織です。私自身はその中で、主に他部署の業務改善、例えば物件の仕入れ・物件管理業務の効率化などに重点を置いて業務を進めています。

 

−ありがとうございます。学生時代は「地理科学部」に所属されていたとのことですが、どのようなことを学ばれていましたか?

嶺井さん: 「地理科学」というと、石や地層の勉強を想像するかもしれませんが、私が学んでいたのはそうした分野ではなく、地理空間データの分析などを勉強していました。
例えば私の所属していた研究室がドローンを持っていたこともあり、自分たちで実際に屋外で収集したデータや衛生画像から予測モデルを作成するなど、実践的なデータ分析をさせてもらってましたね。私は大学と大学院をアメリカの学校に通っていたので、日本の研究室とは少し違う形になるとは思うのですが、そのような形で教授と一緒に研究を進めていました。

 

−学生時代から予測モデルを作るなど、データサイエンスに触れる機会があったのですね。日本とアメリカで、データサイエンスの領域において何か違いを感じることはありますか?

嶺井さん: アメリカの大学は、座学というより実践に重きを置いている気がします。もちろん基礎の入門やプログラミング、統計学も勉強するのですが、就職後に即戦力になれるよう、実際に手を動かす機会が多いように思います。私もそのままデータサイエンスの道に進みました。

 

−大学を選ぶ際に、地理科学の道に進もうと思われたきっかけがあれば教えてください。

嶺井さん: 高校時代に地理の授業が楽しくて、もう少し勉強したいという思いがあったからです。アメリカの大学を選んだ理由としては、日本の大学とアメリカの大学を見比べると、できることややることが全然違っており、自分のやりたいことはアメリカの大学のほうが近いと感じたことが大きいです。また小さい頃から英語が話せるようになりたいという思いもあり、それは社会に出てもプラスのスキルだと思ったので、主にこの2つの理由でアメリカ留学を決心しました。

 

−海外の大学が選択肢に入るというのは素晴らしいですね。英語は高校生当時から堪能だったのでしょうか?

嶺井さん: 試験やテストのための勉強はある程度できたと思っていましたが、話すことや聞き取ることは全然できなかったので、留学時はかなり苦労しました。

 

−現在の会社に就職された経緯を教えてください。

嶺井さん: 就活イベントで初めてGA technologiesの社名を知りました。留学生向けの就活イベントで、エンジニア職やデータサイエンティスト職を探していたところ、募集していたのがきっかけです。会社説明で採用の方にお話を聞いてアナログな業界をテクノロジーで変えていく姿に興味を持ったのが最初でした。

 

−現在の業務内容についてお伺いします。他部署の業務改善ということですが、具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか?
嶺井さん: 弊社は、不動産投資を通じてお客様の資産形成をサポートしており、物件の購入・管理・売却をオンラインで提供するといった事業を行っています。私が担当している具体的な業務は、

例えば書類の読み取りなど、システムで解決できる業務をなるべく人に頼らず効率化していく取り組みです。契約書類の読み取りなどはAIによる効率化も進めています。一つの物件の書類からシステムに登録しなければならない項目が多数あるのですが、月に数百件の物件を取り扱う中、従来は人力で登録作業を行っていました。

そこを大量のスキャンデータをまず OCR(Optical Character Recognition:光学的文字認識)をかけてデジタル化し、読み取った文字をAIにかけて、賃料はいくらか、自動更新があるか、契約期間はいつか、といった項目を抽出しています。

どのような手法が最適解なのかというのは検討している最中です。手法の一つとして RAG (Retrieval-Augmented Generation:検索拡張型生成)を使い、自分たちのデータベースを作ってそこから回答を生成することも試しています。また、AIによる自動抽出に全面的に依存するのではなく、データの正確性・信頼性をどのように確保するかという課題にも取り組んでいます。

 

−入社前に想像していた業務内容と、実際の業務内容にどのような違いがありましたか?

嶺井さん: 業務が自社の社内業務効率化や研究開発ということは大枠で聞いていたものの、実際には、部署内でのヒアリングからプロトタイプの開発、さらには運用・保守まで、対応する範囲が多岐にわたるとは想像していませんでした。

私自身開発に関しては未経験でしたので、覚えること・やることがたくさんあり、入社直後は大変でした。実際の開発現場に入ると覚えることが多く、最初は先輩に頼りっぱなしでした。研修は会社全体の研修が2ヶ月、部署の研修が3ヶ月ほどです。

 

−現在入社4年目とのことですが、これまでにどのくらいのプロジェクト数に関わりましたか?

嶺井さん: 大きく分けて4〜5個くらいです。私が所属する部署AISC で公開している「TechLab(テックラボ)」というサイトがあり、自社で使っているシステムや一部技術の共有を社外の方に向けて行っています。テックラボ内に「Datascope(データスコープ)」というアプリがあり、私たちの部署で蓄積しているデータの一部を可視化しています。その一部を担当したことで社外向け・社内向けのプロダクトの両方を経験しました。

データスコープはただ可視化するだけではなく、このデータを活用して都市開発や店舗出店、家探し(家の紹介)に参考いただけるアプリです。

TechLab(テックラボ):

https://www.lab.aisc.ga-tech.co.jp

※閲覧にはGoogleアカウントが必要となります。

−先ほどAIを活用した業務効率化のお話がありましたが、今後AIの導入によってどのように仕事の環境が変化していくと思いますか?

嶺井さん: AIの活用によって、今まで注力できなかったコードレビューやテスト工程などにも注力できるようになりました。一部のメンバーは AI コーディングを使い、システムのリプレイスやフレームワークの変更などを実験的に行っており、これからさらに活用の幅が広がっていくと思います。

私自身は、AIを活用することで、自分でコーディングするのだけではなく、どのようにAIに意図を伝え望む結果を導くか、設計や発想の部分に時間を使うようになりました。一方でまだAI自体が完璧ではない部分も多々見受けられるので、どこが間違っているのか、どこを改善しなければいけないのかを見極められるようになるまでには、技術的にもスキル的にも担保できるように心がけています。

 

−これまでの仕事を振り返って、大変だったことや、それをどう乗り越えたのか、いわゆる成功体験のようなものがあれば教えていただきたいです。

嶺井さん: やはり「自分よがりの仕事」はよくないと感じたことがあります。

私の業務は自分一人で完結するものではなく、現場の方や周りのメンバーに協力いただきながら進めるのが主です。しかし、以前は与えられた仕事に対して責任感を感じていたうえ、プロジェクトを進めて成果を出したいという思いから、周りとの温度差が生じてしまうこともありました。現場の方も忙しい中で協力してくださっているのに、結果として想像していたように進まなくなることがあり、その時期は行き詰まりを感じていました。そんな時、上司や周囲に相談して「一人で抱え込まず、お互いのペースを尊重しながら進めることが大事だ」と気づくことができました。そこから、配慮の大切さと協調性を身に染みて学びました。

導入時も、現場の方は既存業務を抱えながら効率化アプリを使っていただくことになるので、調整は非常に大事だと感じています。一人で仕事をしているわけではないので、相手のペースに合わせることの重要性を改めて実感しています。
例えば、「来週のミーティングまでに進捗を出したい」と思って積極的に連絡していたのですが、相手が忙しいときにはそれが負担になってしまうこともあると気づきました。今は、相手のペースや状況を見ながら調節し、お互いに気持ちよく進められるようにすることを心がけています。

 

−面白かったと感じる仕事で、何か印象に残っているエピソードはありますか?

嶺井さん: 「Webレター」の導入プロジェクトの中で起きた出来事です。もともと紙の書類をレターパックで郵送していましたが、毎月数百件もの書類を裁く必要があり、作成や発送の手間がかかる点が課題でした。そこで、印刷から発送までをオンラインで依頼できる「Webレター」という仕組みを導入し、業務を大幅に削減するプロジェクトを進めていたのですが、その過程で旧字体の漢字が原因で不具合が起きたことがありました。書類をプリントアウトしたとき、データに登録されている名前と出力された名前が違っていたのです。登録データに間違いはない。しかし何度やっても出力が変わってしまう。原因を調べたところ、旧字体の漢字と出力システムのフォントの相性が悪かったことが分かりました。原因がわかった時は現場のメンバーと一緒に脱力して笑ってしまいました。

取材日:2025年9月29日

インタビュー:

データサイエンティスト協会 企画委員会

株式会社分析屋 池田

 

ライター:

株式会社BICP DATA 山田

株式会社Hi-Lights 清水

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