本は証明しながら読む ~日本統計学会会長・成蹊大学理工学部教授 岩崎先生インタビュー~
日本統計学会の会長を務めていらっしゃる、成蹊大学理工学部の岩崎先生。スキルチェックテストも、UPされるやいなや、早速チェックくださったそうです。今回は、先生がどのようにアナリティクスのスキルを獲得されてきたかを伺って来ました。
Q. 現在の主な研究内容をお聞かせください
岩崎: 現在、統計的な方法で因果関係を推論するというテーマで研究しています。昨今話題に上がるビッグデータとは対極で、すでに集まったデータをどう活用するのかを考えるのではなく、どのようにデータを集めるべきか等、理想的なやり方を探っています。例えば、薬の臨床試験において、どんなデータがあれば良いか事前にわかっていれば、うまく調査を進めることができると考えています。
Q. データ活用に携わるようになったきっかけをお聞かせください。
岩崎: 大学に入った当時、応用数学の3本柱の1つが統計学でした。ちょうど、お酒に関する官能評価に関わるチャンスがあり、人間の好みを扱う統計学が面白いと感じました。また、統計学は、コンピュータに関する知識、数学に関する知識の両方が必要なことから、いろいろなものに興味を持つことができました。
大学時代、FORTRANやBASICなどでプログラムを作成し、パンチカードを使って計算していたのは懐かしい思い出です。最近は、SASやSPSSなどのソフトウェアが浸透し、自分のデスクで処理が出来るようになりました。ソフトウェアの良い所は、データを入れれば、まず結果が出てくることだと思っています。もちろん、手法そのものを理解していくことは必要です。
分析を料理に例えて話すことがあるのですが、料理で言うレシピ(クックブック)のようなものがあっても良いと思っています。ただし、レシピ通り作ってもありきたりのものが出来るだけなので、おいしくするための工夫するところが腕の見せ所です。多変量解析を例にとると、コンピュータが出してくれる有望な変数の中からどの変数を説明変数として選ぶかや、線形だけではなく非線形でモデリングするかなどが、工夫ポイントです。
Q. データ活用に携わるに際して、どのようなことを心がけていらっしゃいますか?
データサイエンティスト協会が定義している、データサイエンス力、データエンジニアリング力、ビジネス力の3つすべてを一人で身に付けることは難しいと考えています。それぞれの専門性を持ったメンバがGive & Takeでお互いに評価しながらプロジェクトを進めて行くのが良いと思います。各メンバが専門性を発揮し、うまくいった事例として、C型肝炎に関するプロジェクトがあります。医者の持つ知識と、統計学者の持つ知識がうまく融合し、治療方法を研究することができました。このプロジェクトでは、データエンジニアリング部分を担う計算のコンサルタントを入れたのもポイントでした。
Q. スキルを習得されるに際して、どのようなことを行われたか、工夫したことや苦慮したことなど、何かエピソードがございましたらお聞かせください。