2022.05.26

課題解決型人材コンテスト2021参加者インタビューvol.2 

課題解決型人材コンテストは、実際の企業にリアルな業務課題とデータを提供いただき4ヶ月間のデータ分析の結果からアクションを提言するコンテストです。参加者はチームを組みメンターからアドバイスを受けながら、フレームワークに沿って課題・データ提供企業と合意形成するユニークな取り組みです。今年も3回目の実施をする予定です。

今回は、昨年の課題解決型人材コンテスト2021で、サンプルデータをご提供していただいた、日本生活協同組合連合会の奈良さん、関さん、阿部さんにコンテストを振り返って様々なお話を伺いました。

2021年課題解決型人材コンテンスト概要

  • 日本生協連のくらしと生協の匿名加工サンプルデータを用いて参加者25名が5チームに分かれて①課題見極め②PoC設計③PoC実施④施策提言を行いました。
  • 4ヶ月間、顧客基盤強化というビジネス課題の解決に向けて、メンターと日本生協連とやりとりをしながら取り組みました。
  • 中間報告、メンターによる模範プレゼン、交流会、を経て最終報告を実施し協会理事による投票で優秀チームが選ばれました。
  • 本コンテストは、データ分析が実際にビジネス課題解決を実現するためにどのようにビジネスオーナーや業務担当者と合意形成を行うかを評価し、そのスキル育成をメンターがサポートします。
課題解決型人材コンテスト2021

今回お話を伺ったのは:日本生活協同組合連合会 執行役員 通販本部 本部長 奈良さん、通販本部 カタログ供給企画部 マーケティンググループ グループマネージャー関さん、阿部さん

インタビューアー:D S協会 広報担当 真田・西牧

コンテストを通じて日々の業務にも新しい気付き

真田:今回はコンテストの主催者側に近い立場で参加いただいた生協連のお三方にお話を伺っていきます。まずデータサイエンティスト協会で、本コンテストをどのように知って、サンプルデータを提供するまでの背景を教えていただいてもよろしいでしょうか。

関さん:ちょうど弊会の顧客管理システムの再構築をしており、データ活用についてIBMの西牧さんにご相談したことがきっかけです。その後、ご連絡いただきコンテストにお声掛けいただいきました。確か朝ご連絡いただいて、大変興味があったので、その日のうちに奈良(上司)を捕まえて、午後には主催者の皆さんと打ち合わせをするというスピードでした(笑)

真田:普段のマーケティングチームのお仕事を教えてください。

関さん:生協と聞くと食品のイメージがあると思いますが、我々は家庭用品や衣料品を扱っている部署です。年間で100種類ぐらいのチラシを組合員さんにお届けしてご注文いただきます。その中でマーケティンググループが主に担当しているのは、いつ、どの会員生協さんにどの媒体を配るかという年間の媒体配置をプランニングしています。たくさんチラシの種類があるので、効率的に配るためのコントロールをしています。またどのチラシを誰にお届けするかという選択配付やデータ分析、アンケートの実施、行動のデータを取得する等がメインの業務になります。

真田:現在、チームは何人くらいですか。

関さん:私を含めて12人います。新たに受注予測のチームが加わりました。将来的には、データサイエンスの力を借りて予測していきたいと思います。この経緯でも、今回の取り組みがとてもヒントになったと思います。

我々の一番の強みは、週に1回生協の職員が組合員さんのお宅に訪問して、商品をお届けし、注文書を回収する中でチラシを配る仕組みです。一般の通販と異なり、買っていない人にもチラシやカタログを配ることができます。ただし誰がどのくらい買ってくれるかは予測しづらいので、データの力で今後改善していきたいです。

参加者インタビュー

阿部さん:私は誰にどんなカタログをお配りすると組合員さんが、欲しい商品を欲しいタイミングでご注文いただけるかというのを日々検討しています。

関さん:「チラシが多過ぎる」というお声もたくさんいただきます。情報過多の現代では、全部は処理しきれないと思うので、本当に必要な情報だけに絞って送ることが大切だと考えています。

阿部さん:ご利用いただいた組合員さんのデータを分析して、まだ買ってないけれどもこういう属性の方は買ってくれそうという予測を立てます。今後はより高度に幅広くデータを捉えていきたいと思います。

独特な生協の商習慣。データサイエンスで新しい扉が開く。

西牧:コンテストの参加者は、生協連様の一般の企業とは違う状況をなかなか把握するのが難しかったと思いますが、事前に準備していただいて、参加者の質問に答えていただきました。

関さん:60~70代が一番メインターゲットになっていたり、今時、商品を紙で注文していたり。珍しいですよね。

阿部さん:生協の注文プロセス、決済のプロセスが、一般的な通販に慣れている方からすると独特だと思います。今回コンテストに参加された方は、若い方が多いので、日常的に使用したことのない商習慣を理解することは難しいかなと思っていましたので、出来るだけ丁寧に説明するように心がけました。

関さん:参加者の皆さんは実際に組合員になって買っていただいたり、弊会のホームページの過去のアンケート調査や組合意識調査などを見ていただいたり。よく調べてくれているなと感じました。

阿部さん:組合員さんとのキャッチボールで成り立ってきている事業なので、コミュニケーションを通じてより良いもの作っていくというのは我々の組合組織の強みなのかなと思います。

参加者インタビュー

真田さん:今回の課題に対して、チームがそれぞれ分析して発表していく中で気付きはありましたか。

関さん:グループは別々の会社の方が集まっている中で、しっかり合意形成をしながら様々なフレームワークを使って話をまとめるなど、マーケティング担当者としてはその一連のプロセスが大変参考になりました。

阿部さん:コンテストの課題には、我々が日々扱っているデータの断片的な部分を提供していたので、どこまでご理解いただけるんだろうと正直不安なところもありました。しかし、短期間で業務の深いところまで理解いただき、時には鋭いご意見と共に素晴らしいアウトプットをたくさん出していただいたので本当にびっくりしました。

真田:コンテストの後に、通常の業務で変化があったことはございますか。

関さん:やはりマーケティンググループにとっては、大変刺激になりまして、課題の立て方や物事を進める過程等はとても勉強になりました。

データサイエンスはわれわれにとってほとんど知らない世界だったので、今回新しい扉を開いたみたいな感覚でした。最近は内部でも新しく入れたソフトウェアをちょっと使ってみようとか、プログラミングを勉強する環境を用意してほしいという提案をしています。チーム内でも積極的にプログラミングを勉強する人たちも今後増えていきそうですね。

真田:全体を通じてすごく大変だったことや苦労した体験があれば教えてください。

関さん:そうですね。弊会側にデータサイエンティスト人材がいなかったので、なかなか即戦力になれなかったことは大変でした。本当に皆さんの仕事ぶりを間近で拝見させてもらい、データサイエンスの骨幹に触れられて良い機会になりました。

阿部さん:データの意味やデータの定義について、改めて検討することは、我々の事業全体の流れを知る上で良い気付きがありました。日常での業務に役立つことをたくさん質問としてみなさんからいただくことで新たな発見がありました。

関さん:今度は産学連携など、データサイエンスを志す学生さんと一緒にチャレンジしてみようかなと思っています。

真田:コンテストにデータを提供する企業として採択されるおすすめポイントなどがあれば教えてください。

関さん:企業のデータサイエンスのレベルによると思いますが、参加者のみなさんからの質問や提案を通じて 、我々だけでは気付かないようなことを気付くことができるところではないでしょうか。

阿部さん:どんな業種でも、どんなデータサイエンスのレベルであっても、異業種・異文化の方々とのディスカッションの中で生まれる新しい視点はとても貴重だと思います。そこをぜひお薦めポイントとしてあげたいと思います。

入会していただいた方の人生に寄り添って長く共に歩んでいけるように。

執行役員 通販本部 本部長 奈良さんにコンテストを振り返っていただきました。

参加者インタビュー

真田:コンテスト全体を通じての感想をお願いします。

奈良さん:4カ月という短い時間でしたが、皆さんにはとても熱心に参加していただいて、本当にありがたかったです。参加者と弊会側の職員全員が一つのチームみたいな感覚でした。それぞれ競争していますが、みんなでこの事業を良くしようという熱意をもってご提案いただいたことが素晴らしかったですね。私自身も自分の仕事を振り返る機会にもなりました。

真田:コンテスト前後で変化したことや、気付きがあったことを教えてください。

奈良さん:とてもたくさんありました。私たちの一番の収穫は、データサイエンスの一連の型のようなものを学ぶことができたことです。様々な仮説を立てて、数式に落としこみ、ツールを使い、どういう実証実験をして、どのように検証するのかを、皆さんと一緒にやらせていただいたことはとても勉強になりました。

真田:今後データサイエンスを活用して強化していきたい、注力していきたい分野はどのようなことですか。

奈良さん:生協は会員制なので、一回加入いただいた方の人生に寄り添って、長く一緒に歩んでいきたいなと思っています。どういうご提案をしたらいいのかをデータの面から理解できるようになっていき、今、生協で買うものがないなと思っている方にも、生協こそ私のことを理解してくれていると思っていただけるように進歩したいですね。

データサイエンスは万能ではない。地道な実業の視点とデータ分析視点、両方を併せ持つことが重要。

西牧:データとの関わり方についてマネジメント視点でお伺いします。マネジメント層は、あらゆる場面でデータを正しく理解して説明する能力が問われてくるのではないかと一般的に言われていますがそれについてどう思いますか。

奈良さん:そう思います。様々な産業でデータ分析が必要になってくる時代において、今後はマネジメント側もデータについてどんどん勉強していくことが必要ですよね。

西牧:企業ではデータサイエンティストの主張がマネジメント側に受け入れなられないことが多々あります。データ分析者がコミュニケーション不足なことは指摘されていますが、マネジメント側が何に興味があるのかというのを、正しく引き出すような質問をしていかなければならないと思っています。

奈良さん:データを分析者する人としっかり議論ができるようには最低限なりたいと思っています。そういうスタンスでビジネスをする人が増えていくと、だいぶ変わってくると思っています。

西牧:素晴らしいモデルの背後には業界の理解や事業そのものの理解があるので、分析者がマネジメント視点のような立場で理解することはなかなか難しいと思いますが今後どうしていったら良いかご意見をお願いします。

奈良さん:理屈を知っていて、データ分析の結果を見るのと、理屈は何も知らないけれど直感的にデータを眺めるというのでは結構違うと思いました。様々な面白い事例を通してツールや分析手法や応用の仕方を学んでいくことはとても有効だと思います。マネジメント側とデータ分析者、お互いが歩み寄りながら上手にコミュニケーションしていくのは大事だと感じています。マネジメント側の育成も大切ですよね。

熊本地震の際、生協が避難所へ物資を届けるお手伝いをしたことがあります。生協の職員はいざというときの手仕分け力には定評があるので(笑)即時に仕分けをして送り込みをしました。先日芝浦工大の市川先生から熊本地震を事例に支援物資の避難所ごとの過不足がないようにするモデルを学生さんが作られたお話を伺ったのですが、その成果が手仕分けの現場に入っていたら、もっと細やかな対応ができたのかもしれないと思います。現場ではいざといったら手仕分けみたいな地道さは結構大事ですよね。

結局、その地道さとデータサイエンスの結果を両方併せ持つ力が必要だと思います。データサイエンスは様々なところに使えますが、万能ではないので何かと組み合わせて初めて実用になると思っています。どう実用に落とし込んでいくかが、私たちのように実業やっている醍醐味でもあるので、データサイエンスも使えて、実業もできる人になりたいなと思っています。

 

奈良さん、関さん、阿部さん、ありがとうございました。

vol.1はこちら → vol.1
vol.3はこちら → vol.3

カテゴリ
アーカイブ
記事アクセスランキング
タグ