2024.04.26

Data of Data Scientist シリーズ vol.51『日本:10.9%、アメリカ:25.9% - 生成AIのビジネス導入率』

Data of Data Scientist シリーズ vol.51『日本:10.9%、アメリカ:25.9% - 生成AIのビジネス導入率』

データサイエンティスト協会では、一般ビジネスパーソン向けのアンケートを毎年実施しています。日本(2,000人)と、アメリカ(1,000人)で働いているビジネスパーソンを対象に調査した結果から、「生成AIの業務導入」について、日米比較してみました。

生成AIを業務に導入している割合をみると、日本が10.9%であるのに対して、アメリカが25.9%となっています。「利用を検討している」人まで拡大すると、日本の20.0%に対してアメリカでは42.0%となっており、日本における生成AIの浸透率はアメリカの半数以下となっています。AIを業務に導入している割合はアメリカと比べて大きく遅れていると言えるでしょう。
また今後導入を検討している割合は、日本が48.3%、アメリカが31.7%となっています。生成AIを「知らない」と回答している割合は大きな差はないため、日本のビジネスパーソンの場合は、生成AIは知っているけど、自分の業務に活用することを考えていない人が多いことがわかります。日本では、生成AIを導入していないし、また、今後の導入に対する意識も低いのです。
生成AIはビジネスのトレンドワードとなっていますが、アメリカなどの先進国と比較すると、日本では活用実態、活用意識ともに低い水準にあると言わざるをえません。生成AIが実際にビジネスに活用できるのかは不透明な部分も多いですが、まずは「使ってみよう」という意識を高めていくことが重要になるでしょう。

日米の年代別に生成AIの導入率を比較したものが以下の図です。
日本では、年代が高くなるほど導入率が低下する傾向にありますが、年代別で大きな差はありません。一方で、アメリカの場合は、20~40代における導入率が高い水準になっています。日米における生成AIの導入率の差は、若年層における生成AIの利用率に大きく影響を受けているといえます。
生成AIのビジネスシーンの利用をみると、日本と比較して、アメリカでは「ドキュメントの要約」「プログラムの作成」「画像作成」が多くなっています。なかでもアメリカの若年層では「ドキュメントの要約」や「画像作成」において生成AIを利用していることが多くなっています。「ドキュメントの要約」は生成AIの得意な作業であり、ビジネスシーンでも重要になってくる業務です。日本のビジネスパーソンでもニーズがあるはずです。日本のビジネス慣習、日本語の特性などに対応して、日本らしい形での生成AIの導入が期待されます。

これからのビジネスにおいて生成AIの導入は必須です。新しいものに対する漠然とした嫌悪感があるだけで、ビジネスを効率化できるチャンスを逃してはなりません。今後、日本のビジネスにおいて生成AIが健全に浸透することを期待したいと思います。

データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
株式会社野村総合研究所 塩崎潤一

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