2024.11.26

Data of Data Scientist シリーズ vol.64『日本:37.9%、インド:61.0%-AIは「業務効率・生産性を高める」イメージがある割合』

データサイエンティスト協会では、一般ビジネスパーソン向けのアンケートを毎年実施しています。今回は、AIに対するイメージについて、各国(日本、アメリカ、インド、ドイツ)間の比較をしてみたいと思います。

 

一般ビジネスパーソン向け調査2024年調査結果:https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-3592/

「AI(人工知能)に対するイメージ」を多重回答式で聴取した結果を整理したものが以下のグラフです。この設問では、AIに対するイメージとして10の選択肢を用意して、日本、アメリカ、インド、ドイツのそれぞれの国のビジネスパーソンに調査を行いました。国によって傾向の違いがありますが、4つの国すべてにおいて最も回答が多かったのは「業務効率・生産性を高める(インド61.0%・アメリカ39.6%・日本37.9%・ドイツ36.1%)」でした。AIが生産性向上に資するものであるという点については、共通認識になりつつあるようです。

 

 

国別の傾向を分かりやすくするため、この設問の結果を、各国の上位5つの回答を抽出して見てみたいと思います。今回の選択肢にはポジティブなものとネガティブなものが両方ありますので、ポジティブな選択肢は青色、ネガティブな選択肢は赤色とします。

 

 

まず、上位5つがすべてポジティブな選択肢となったのはインドでした。インドはIT企業も多く、ビジネスパーソンはAI技術を前向きに捉えているのかもしれません。日本とドイツはポジティブが3、ネガティブが2となり、ややポジティブなイメージを持っているようです。一方で、ネガティブが3、ポジティブが2と、ネガティブな選択肢の方が多くを占めたのはアメリカでした。アメリカはAI技術で世界最先端ですが、その分、一般のビジネスパーソンは、その急速な進化に不安や恐ろしさを感じている可能性があります。あるいは、AIとは関係のない仕事をしている人にとっては、自分たちの仕事が脅かされるリスクがあると考えているのかもしれません。

 

国や個人によって、ポジティブな意見とネガティブな意見が両立している現状は、AI技術に対する理解がまだ深まっていないという側面もありそうです。AI技術は新しいものであるがゆえに、過度な期待、あるいはその逆に、過度な不安や懸念を取り除いていく必要があります。我々データサイエンティストはAI技術を理解する立場として、AI技術がどのような業務改善に資するかを具体的に示し、またネガティブに捉える人たちの不安や懸念を払拭するような、丁寧な説明が求められていると言えそうです。

 

データサイエンティスト協会 調査・研究委員会

株式会社野村総合研究所 田村初

カテゴリ
アーカイブ
記事アクセスランキング
タグ