2025.06.12

Data of Data Scientist シリーズ vol.67『63%-統計やAIなどのデータ分析に関する「理論」に詳しい人材を、採用・育成したい企業の割合』

データサイエンティスト協会では、2024年11月に開催したデータサイエンティスト協会12thシンポジウムにおいて、参加した企業担当者向けにデータサイエンティスト(以下 DS)の採用に関するアンケート調査を行いました。ここでは、企業が採用・育成したいデータサイエンティスト人材像についての聴取結果をご紹介します。

 

企業向けに採用に関する調査を実施:https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-3991/

「現在、貴社にいるデータサイエンティスト(グラフ水色)、及び、今後、採用・育成したいデータサイエンティスト(グラフ橙色)の人材像として、あてはまるものをお答えください。」という設問を多重回答式で聴取した結果が以下のグラフです。

”現在“貴社にいるデータサイエンティストとしては、「複数の分野を俯瞰的にみてデータ分析の活用を戦略的に考えられる人材(58%)」「統計やAIなどのデータ分析に関する『理論』に詳しい人材(54%)」「数理最適化・数理計画法などの数理モデルの活用を得意とする人材(52%)」などが上位になっています。一方、”今後“採用・育成したいデータサイエンティストを見ると、「統計やAIなどのデータ分析に関する『理論』に詳しい人材(63%)」が1位となっていますが、他の2つは30%台と高くありません。つまり、他の2つはすでに人材確保が進んでいる、もしくはそれ以上に求める人材像に変化が出てきているとも考えられます。

 

では、企業の需要が大きいのに供給が足りてないのはどのような人材像でしょうか。これを確認するため、”今後”と”現在”の「差分」に着目したのが、以下の表になります。

1位が「データによるビジネス課題解決を得意とする人材(+15ポイント)」、2位が「統計やAIなどのデータ分析に関する『理論』に詳しい人材(+9ポイント)」、3位が「データのハンドリングを得意とする人材(エンジニア)(+8ポイント)」などとなっています。「ビジネス課題解決」が最上位に来ているのは、やはり多くの企業においてAIの「実装」を進めたいという意向が強まっていること。また「AI」や「データハンドリング」というキーワードが上位に来てるのは、最近の生成AIの急速な普及を背景としているのではないかと思います。

 

最後に余談ですが、今回のアンケート結果を生成AIに与えると以下のような解釈をしてくれます。個人的には、かなり妥当性のある解釈だと感じました。企業の変革だけでなく、このようなアンケート分析の世界においても生成AIの活用が当たり前になっていくかもしれません。

【ChatGPTによるアンケート結果の考察】

考察1:理論と実装のハイブリッド人材の必須化

統計・AI理論に精通すると同時に、生成AIモデルの迅速な試作・改善ができるエンジニアリング力を併せ持つ人材が、企業競争力を左右する。

考察2:ビジネスインパクト設計力の重要性

生成AIを単に開発・適用するだけでなく、具体的な業務課題に落とし込み、ROIや効果を定量的に評価して実装できる能力が不可欠となっている。

考察3:大規模データハンドリングと運用基盤構築力

非構造化データも含む大量データの前処理から運用・監視までを安定的に回せるデータパイプライン設計・インフラ構築スキルが、プロジェクトの継続的成功を支える。

まとめ

生成AIの急速な普及を背景に、単なる理論家や研究者ではなく、「理論+実装」「ビジネス価値設計」「データ基盤構築」の3要素を高いレベルで兼ね備えたハイブリッド型DS人材が、今後ますます企業に求められる。

データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
株式会社野村総合研究所 田村初氏

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