2026.01.20
Data of Data Scientist シリーズ vol.79『32%-業務上のドキュメント要約で生成AIを活用している日本の一般ビジネスパーソンの割合』
データサイエンティスト協会(以下、DS協会と略記)では、一般ビジネスパーソン向けのアンケートを毎年実施しています。このアンケートは国内だけではなく海外も対象に実施しています。今回は、最新アンケート結果に基づき、生成AIの業務利用に関する各国(日本、アメリカ、ドイツ、インド、中国)の比較結果を見ていきます。
(参考:最新アンケート結果のプレスリリース:https://www.datascientist.or.jp/news/n-pressrelease/post-4978/)
まず業務全般の利用率(トライアル段階を含む)を見ると、次のスライドの通り、日本は24%に留まり、約40%のアメリカ・ドイツ、約70%のインド・中国に大きく水を空けられていることがわかります。
本連載記事 Vol.66(https://www.datascientist.or.jp/dssjournal/dssjournal-4037/)でご紹介したDS協会の一般(個人)会員向け調査では、トライアルを含めなくても利用率60%に達している(24年12月時点)ことをふまえると、日本国内でもデータサイエンティスト層と一般ビジネスパーソン層の間に利用状況に大きな乖離があるという示唆が得られます。
この結果をふまえ、具体的にどのような利用内容で他国と比べ特に差がついているかを確認します。次のスライドは、5ヶ国別に分野ごとの利用率(「使おうとしている」を含む)を集計し、日本での利用率が高い順に分野を並べかえたものです。
これによると、他国との差が特に大きいのは「ドキュメント要約」と「挿絵・イラスト作成」です。ドキュメント要約は、日本でも利用率が高い分野(32%)であるにも拘らず、他国はインド60%、アメリカ56%など突出して高い水準が見られます。(この点もVol.66で紹介したDS協会 個人会員との差が顕著で、個人会員の45%(検討中も含めれば66%)は生成AIをドキュメント要約で利用)また翻訳も、日本は23%ですが、ドイツ・インド・中国は38~45%と差が顕著な一方、アメリカは日本と同水準でした。これは、英語がビジネス上の実質的な共通語として機能する中、アメリカでの翻訳ニーズが少ないことが背景にあると考えられます。
日本での利用率が相対的に低い背景としては、ドキュメント要約・翻訳はいずれも「既存の完成文」を扱うタスクであり、生成AIの活用領域として直感的に想起されにくい可能性があります。加えて、機密情報の取り扱い、品質保証(誤り混入時の影響)、社内ガイドラインや承認プロセス、利用可能なツール環境の整備状況などが、業務導入のハードルになっている面も考えられます。挿絵・イラスト作成について差が大きいですが、テキスト生成AIに比べ画像・動画系はビジネス利用のユースケース設計が難しいこと、著作権・権利処理への懸念がリスクとして捉えられやすいことなどが影響している可能性があります。
本記事では、日本の生成AIの業務利用率全般や分野別利用率を、他国と比較しながら考察しました。日本の一般ビジネスパーソンは他国に引き離されつつも、DS協会 一般(個人)会員の利用率は他国の一般ビジネスパーソンに引けをとらない点をふまえると、DS協会 一般(個人)会員が周囲に生成AIの価値を正しく伝え啓発していくことには、日本の産業界の生産性やクリエイティビティの向上に際し大きな意味があると考えられます。今後も様々な情報を皆様にお届けできるよう、DS協会は引き続き活動を続けてまいります。
データサイエンティスト協会 調査・研究委員会
株式会社エル・ティー・エス 窪田弘氏
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