データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。
第九弾の後編は、コニカミノルタ株式会社の技術開発本部 データサイエンスセンター データソリューション部でデータサイエンティストをされている、森田 亮さんにお話を伺います。
<前編のインタビューはこちらをご覧ください>
-社内のコミュニケーションや人間関係はどのような感じですか。
森田さん: 毎週水曜日はみんなで出社していて、対面で議論したり雑談したりランチを食べたりしています。帰りにラーメンを食べに行くこともありますよ。データサイエンスの部署は会社の平均年齢からすると若い方なので、「飲みに行こう」とか「ラーメン行きましょう」といったコミュニケーションが自然に発生しますね。
業務外のデータサイエンス関連の活動だと、部内の有志でkaggleコンペに参加したり、学会が主催するコンペに出てみようということもあります。部署外の繋がりは、テニス班・バドミントン班といった同好会で横の繋がりがあったり、若いメンバーは新卒の同期と仲が良かったりしているようです。出張のときは夜に飲み会を開いてもらってご飯を食べたり、様々な環境を用意してもらっています。
-AI技術の進化によって、プロジェクトの進め方で変わってきたことがあれば教えてください。
森田さん: Claude codeなどのコーディングエージェントを使うことで、分析や実装のところはかなり速くできるようになりましたね。モデリングや可視化のコードをサッと書かせてしまったりとか。分析結果をパッと現場側に見せたいときにサクッと可視化用のアプリを作ってしまうのがかなり楽です。
論文を読んで再現するというR&D的なことも一部やっていて、そのようなときにもかなり活用しています。論文調査に関しては、alphaXivというarXiv上の論文に対してそのままチャットを投げられるツールを使いますし、NotebookLMに複数の論文を放り込んでまとめさせたりと、随分楽になりましたね。
-スキルアップについてお伺いします。入社後に向上したスキルや、これから伸ばしたいと思っていることを教えていただけますか。
森田さん: 今の仕事に使うデータサイエンス・AI周りのスキルは、ほぼすべて入社してからなんとか頑張って勉強してきた感じです。統計や機械学習の本を読む、有志で勉強会をやる、業務の合間に勉強するという形で取り組んできました。
これから伸ばしたいことは二つあり、一つは技術的なものです。今は人行動解析AIや環境音分析AIなどのAI技術開発に取り組んでおり、技術進化も早い分野ですので継続して技術力を上げていきたいです。
個人的には五感のうち目・耳・鼻を代替するようなAI技術・データ分析には取り組んだことがあるので、次は触覚とか、昨今話題になっているフィジカルAIなども面白いなと。弊社は製造業ということもあって、技術を適用できる余地がたくさんあると思います。ドメイン知識を広げながら、新しいAI技術についても理解を深めていきたいですね。
もう一つはAIそのものがビジネスのコアな価値を決めるようなところで、大きなチャレンジをしてみたいと考えています。
- そのような企画のアイディアを社内で提案するルートはあるのでしょうか。
森田さん: 新規技術や事業の芽を作ろうというワーキンググループが様々あって、手を挙げて参加できます。アイディアがない状態でもワークショップに参加して「芽を作りましょう」というワーキングもあるので、自分のアイディアで事業を起こしたいという形でやっている人たちもかなりいます。
挑戦できる環境はあるので、あとは自分が頑張らないといけないですね。

-入社されてよかった点や、入社前とのギャップがあれば教えていただけますか。
森田さん: よかった点は、手を挙げて部署を移るということがかなり柔軟にできることです。データサイエンスの公募や教育プログラムを兼ねた制度があり、本人の意向を尊重する風土があるので、こんなにチャレンジできるんだと感じましたね。
20〜30代で技術への興味・関心が高いメンバーが多く、そのようなメンバーと一緒に勉強するという環境も良いところです。
また、会社がデータアントレプレナープログラムの受講を支援してくれており、自己負担なしで受けることができました。社会人ドクター進学時の学費補助といった制度もあるので、その辺りも活用されている方もいらっしゃいます。
- もし再度就職活動をされる機会があるとしたら、どのような会社を選ばれますか。
森田さん: やはり事業会社を選ぶ気がします。AIベンダーやコンサル系も幅広く様々な業界を見られるという良さがありますが、自分のところでデータを持って、コアな課題に向き合って、そこに刺さるものを作って運用まで見届ける、これは事業会社の方がやりやすいと感じます。
もともと物理系の出自ということもあり、Web上のログ等だけではなく現実世界のデータ分析にも興味があるので、製造業など同じような業界にそのまま戻る気もしています。
- 会社の選び方などについてアドバイスがあればお願いします。
森田さん: 自分の専門性が活かせるとか、好きなことができそうという軸で会社を選ぶのが良いと思います。好きなことが仕事になるのは、やはり楽しさがありますから。
どのようなタイプがデータサイエンティストに向いているかというと、技術の進化スピードがかなり速いので、キャッチアップすることが苦ではなくてむしろ楽しめる人、技術を実際のビジネスの場で活かすことが好きな人ですね。技術に対して興味関心が強いというのは1つ大事な要素なのかなと思います。
- 現在の仕事の満足度を教えてください。100点満点でいうと何点と評価しますか。
森田さん: 85点ですね。 やはり大きいインパクトのある成果をまだ出せていないかなというところで85点です。
テーマによっては社内の活用ツールの提供に留まってしまう部分もあります。私としては会社のトップページに「こんなAIを作っています」と載るようなものを、もっと作りたい、データサイエンスの分野からそのような大きなものが出てくるようなチャレンジングな取り組みができるといいなと思っています。
- ご自身の今後のキャリアや挑戦してみたいことがあれば教えてください。
森田さん: キャリアについては絶賛悩み中です。
「データサイエンスとAIのプロフェッショナルという道に挑戦してみたい」というのが正直なところです。
弊社では最近、いわゆる管理職(エンパワーメントリーダー)と技術プロフェッショナル(エキスパート)という2つのキャリアパスが設けられていて、どちらを目指すかでキャリア戦略が変わってきます。
私はどちらかというとエキスパート側でやってみたく、動画・音・さまざまなデータに対して深い技術で事業に貢献していくことに取り組んでいきたいと思っています。
中期的には、いかに事業にヒットさせられるか、それをスピーディーに実現するかが重要です。今取り組んでいるテーマをどんどんスケールさせていくというのが直近の目標です。加えてR&D的な取り組みも一部取り組んでいるので、時代の技術をキャッチアップして流れを読みつつ、自社にとっていかに役に立つかを提案する眼力を身につけながら、新しいビジネスを作りつつ技術も深めていく。そのようなことができるようになっていきたいですね。
-最後に、これからデータサイエンティストを目指す方々に向けてメッセージをお願いします。
森田さん: コーディングを補助するAIエージェントもありますし、本や論文・ブログを調べやすくなったり、ツールも使いやすくなってきているので、敷居は下がってきています。やる気と興味関心があれば非常に速いスピードで成長できますし、技術の進化が速いので既存の知識がすぐに古くなっていくというのはある意味チャンスでもあって、中途からでも新卒からでも大活躍できる機会がどんどん生まれています。臆さずチャレンジしてもらえると嬉しいですし、私自身も一瞬で追い抜かれてしまうかもという恐れもありますが(笑)、チャンスはあると思います。


取材日:2026年2月9日
インタビュー:
データサイエンティスト協会 企画委員会
株式会社分析屋 池田
ライター:
株式会社BICP DATA 山田
株式会社Hi-Lights 清水
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コニカミノルタ株式会社 森田 亮 (モリタリョウ)氏
32歳 新卒入社
技術開発本部 データサイエンスセンター データソリューション部 アシスタントマネージャー
データサイエンティスト歴:6 年