データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。
第九弾は、コニカミノルタ株式会社の技術開発本部 データサイエンスセンター データソリューション部でデータサイエンティストをされている、森田 亮さんにお話を伺います。
-まず始めに自己紹介をお願いします。
森田さん: 新卒でコニカミノルタ株式会社に物理系職種として入社しました。現在8年目ですが、最初の3年くらいは商業印刷向けのプロダクションプリンターの開発を行う部署に在籍しました。データサイエンティストに興味を持ったのは1年目、プリンター内の各種機器の状態データを活用したマシンの故障予測や予兆保全のプロジェクトにドメイン側の人間としてアサインしてもらったことがきっかけです。で、面白そうだなと興味が湧きました。
- 学生時代は、どのような研究をしていたのでしょうか。
森田さん: 学部・大学院と物理学を専攻していました。専門は”物性物理学”という分野で、物質のマクロな性質をミクロな電子の運動や原子の配列などから解明することを目的とする分野です。実験室で粉末を混ぜてガラス管に封入・焼成し物質を合成するところから、各種プローブでの測定・データ解析まですべて自分でやっていました。
- 現在の部署には、どのような経緯で異動になったのですか。
森田さん:入社 2年目のときに、当時のデータサイエンティスト協会 事務局長であった斉藤さんが講師をされていた、電気通信大学のデータアントレプレナープログラムを受講しました。その後3年目は、プリンターの開発部門にいながら弊社のKunkun Xというニオイ嗅ぎ分け技術の開発にも携わり、ガスセンサーの波形を入力に匂いの強度や種類を分類するAIモデル開発を担当していました。
電気通信大学で勉強して「AIができるようになった」ということで声をかけてもらい、プリンター開発業務と並行して、AI開発・データ分析業務も実施していた形です。
その後はデータサイエンスの専任部署に移動しています。
- 現在関わっていらっしゃるお仕事や、事業について教えてください。
森田さん: 所属しているのは全社横断のデータサイエンス部門で、様々な事業部に対してデータ活用やデータサイエンスのソリューションを提供する役割を担っています。プリンター関連の部署と一緒に取り組むこともありますし、他にも弊社には様々な事業があり、スマートフォンやパソコンなどに使用されるディスプレイ用機能性フィルムの製造部門との取り組みもあります。
- フィルムの例でいうと、どのようなデータをどのように扱っているのでしょうか。
森田さん: 神戸に弊社の工場があり、そこでフィルム生産を実施しています。フィルム製造には上流から下流まで多様な工程があるのですが、様々な種類のセンサーが工場内に設置され日々データが取得されています。フィルム品質に異常があったり、何らかのトラブルで生産がストップすると大きな問題になるので、それを防ぐための異常検知や異常要因分析をやっています。
- 今のお仕事はチームで取り組まれていますか。
森田さん: 全部チームですね。割と少人数で3〜4人くらいで取り組みます。
分析だけでなく、WebアプリケーションでAIの異常スコアを可視化するところまで含めて一緒に進めていきます。テーマによってはシステム開発専任のメンバーも入ることがありますし、データサイエンティストだけでやることもあります。

- Webアプリケーションは、どのような技術を使うことが多いですか。
森田さん: PythonだとStreamlitが便利です。見た目にそこまでこだわらなくて良い場合はサンプルコードも豊富なのでよく使いますね。
- データサイエンティストの部署に異動される前と異動後では、働き方にギャップはありましたか。
森田さん: 実はあまりギャップはなかったんですよね。よくある「もっとモデリングや分析をやれると思っていたのに」「前処理ばかりで辛い」みたいなことはそれほどなくて、割と分析もやれていますし、コミュニケーションや調整ばかりでという悪いギャップも特にありませんでした。
- これまでのお仕事の中で、大変だったことについてお聞かせください。
森田さん: いつも悩むのが、机上での検証と実際の運用のギャップです。精度がうまく出ないとか、運用していると思いもよらないデータが入ってくるとか、そういったことが発生します。
検証段階のテストデータですと十分なサンプルサイズがないこともあり、運用中に起き得る様々なシチュエーションを想定しながら、どこまで作り込むか、想定外のことが発生したときの再学習の仕組みをどのように用意するか、チームでやりくりをしています。
今取り組んでいるテーマでは、プリンターの製造ラインで作業者さんが製品を組立していく工程があります。万が一組立にミスがあり、それが市場に出てしまうと大問題ですし、組み立てに時間がかかりすぎると1日の生産ノルマに対して不足が出て残業になる。そのため作業現場の様子をカメラで動画を撮って、動画解析によって作業内容や作業時間を推定し、現場改善に活用していこうということをやっています。
人の行動には本当に様々なイレギュラーがあり、例えば複数人の作業者がカメラ画角内に入ってきてしまうとメイン作業者とそれ以外の作業者をうまく分離できなくなったりするんですね。そのようなことはドメイン側のメンバーとのコミュニケーションの中で対処しています。
補助の作業者が入ることがある場合は事前に教えてもらったり、休憩時間はカメラ撮影のスケジューリングで除外したり、作業者が頻繁に変わる場合は現場側でのアノテーション環境や再学習の仕組みをあらかじめ組み込んでおいたりという形で進めています。
- テーマを一人で担当するということはありますか。
森田さん: テーマをまるっと全部一人だけで進めるということは、あまりないですね。もちろん「モデリングはこの人だけで」というように担当を分けることはありますが、テーマ全体を一人でというのはあまりなく、周囲に相談をしながらまたは分担しながら進めています。
- 働き方について教えてください。リモートワークの比率はどのくらいですか。
森田さん: 基本的には週1出社で残りはリモートというペースです。毎週水曜日はチームみんなで八王子の拠点に来て、対面で議論したり雑談したりランチを一緒に食べたりしています。あとはテーマによって臨機応変に対面で話す日を設けたりしていますね。
- 工場の現場を、直接見に行くということもあるのでしょうか。
森田さん: もちろんあります。愛知の拠点に出張して現場を見させてもらったりコミュニケーションをとったりということはよくありますし、フィルムのテーマだと神戸に行ったりと、現場の理解はかなり大事なので、極力行くようにしています。
- 生産現場へは行きづらいという方もいらっしゃいますが、森田さんはいかがですか。
森田さん: やはり生産現場は一番忙しい部門ですので少し難しいところもあるのですが、生産現場側も「データサイエンスで課題解決したい」という理解があり、嫌がられるということはなく、むしろ「来てよ」くらいの感じで連携させてもらっています。
こちら側からどんどん積極的に出向いて地道に信頼関係を作っていくのが重要で、そうしていければテーマとしてもうまく進むかなと思っています。
<後編へ続く>

取材日:2026年2月9日
インタビュー:
データサイエンティスト協会 企画委員会
株式会社分析屋 池田
ライター:
株式会社BICP DATA 山田
株式会社Hi-Lights 清水
- カテゴリ
-
-
DS関連NEWS
-
インタビュー
-
スキルアップ
-
コラム
-
教えて!DS
-
- アーカイブ
-
-
2026年
-
2025年
-
2024年
-
2023年
-
2022年
-
2021年
-
2020年
-
2019年
-
2018年
-
2017年
-
2016年
-
- 記事アクセスランキング
-
- タグ
コニカミノルタ株式会社 森田 亮 (モリタリョウ)氏
32歳 新卒入社
技術開発本部 データサイエンスセンター データソリューション部 アシスタントマネージャー
データサイエンティスト歴:6 年