データサイエンティストの業務内容や働き方の実情を、多くの人に正しく知ってもらいたいと考え、企画を始めたインタビューシリーズ。
第十弾の後編は、引き続き株式会社マイナビのデジタルテクノロジー戦略本部AI戦略室でデータサイエンティストをされている、飯田 翔吾(イイダ ショウゴ)さんにお話を伺います。
- 入社前に想像していた仕事内容と、実態にギャップはありましたか。
飯田さん: 正確に言うと、入社前にはあまり具体的な仕事内容を想像していませんでした。マッチングモデルや自然言語処理の業務が多いとは事前に聞いていたので、そこへのギャップはありませんでした。
社内向けの業務なので、外部からの依頼ではなく社内の様々な課題に取り組めるのが特徴です。AI戦略室の企画側が事業部からの「AIで何かできないか」という依頼を受け、優先順位をつけて対応しています。入社後の率直な感想としては、AIを活用して本当に様々な業務改善ができるのだなと感じています。
- これまでに遭遇した苦労や大変だったことはありますか。
飯田さん: AI-m(エイム、高校生向けの面接練習サービス)の開発において、生成AIのLLMを使用しているのですが、その出力の安定化が大変でした。
プロンプトを事業部と何度も調整し、高校生へのアドバイスの精度を上げなければなりません。出力が安定しなかったり、品質基準が厳しかったりする中で、開発中にも修正依頼が頻繁に来るため、そのやり取りには苦労しました。
ただ、事業部と直接対面でコミュニケーションを取る機会を増やしたことで改善できました。事業部は高校生向けサービスの現場を最も理解しており、志望理由書の添削などの知見を持っています。我々だけでは判断できない部分を、密にやり取りすることで解消していきました。コミュニケーション能力の重要性を痛感した経験です。
- 仕事の中で面白かったエピソードや驚いたエピソードはありますか。
飯田さん: AI戦略室のメンバーとホワイトボードの前で「このようなサービスがあるといいよね」と話していた内容が、実際に上層部まで提案され、1年ほどでサービスとして形になり、現在テスト導入されていることに驚きました。
アイデア段階から1年でテスト運用まで到達するスピード感は、ベンチャー企業なら普通かもしれませんが、マイナビのような大手企業では柔軟性があると感じました。
我々の部署は雰囲気が明るく、事業部に積極的に提案を持っていく文化があります。「需要があればどんどん進めよう」という姿勢があり、会社からも企業へのインパクトを軸にプロジェクトの優先順位が決まるため、価値創造が求められる環境です。
- 所属部署の規模感について教えてください。
飯田さん: AI戦略室は現在約50名の組織です。その中でデータサイエンティストは20数名で、私はITソリューション部のデータサイエンティスト課に配属されています。ほかに、事業部出身でAIも学びながら我々と事業部の橋渡し役を担うビジネス企画の方や、4月からはRPA(社内業務の自動化)を担当する方もジョインしました。
プロジェクトは概ね2〜3名で1つを担当し、1人あたり2〜3つのプロジェクトを持っています。人数に対してプロジェクト数が多い状態なので、優先順位をつけながら進めている状況です。それだけ社内からの需要があるということで、嬉しくもあり忙しくもあります。
- リモートワークの状況はいかがですか。
飯田さん: マイナビでは部署ごとに目標を設定しており、IT全体ではおおよそ在宅率40%程度を目指しています。個人レベルでは20%から50%の範囲が目安となっており、私は週2日程度在宅勤務をしています。入社時からこの体制は変わっていません。
- AI技術の急速な進化は、業務にどのような影響を与えていますか。
飯田さん: コードエージェントの登場が大きな変化をもたらしました。コードを書く速度が格段に上がったことで、要件定義やドメイン知識の習得といった、課題に寄り添う部分により多くの時間を割けるようになっています。課題を正確に捉えることができれば、制作物もすぐに作れるので、そちらに比重が移りつつあります。
ただし、もともとコーディングスキルがある人が使うと特に効果が高い一方、知識のないまま使うと誤りに気づかないまま進んでしまうリスクもあり、セキュリティ面を含めて注意は必要です。全体としては開発スピードは確実に向上しています。
- 画像生成AIの進化についてはいかがですか。
飯田さん: 画像生成AIの検証は1つのプロジェクトになっています。SNSやWebで出す広告画像をAIで代替できないかという検証で、直近1年で画像生成の品質が飛躍的に向上しているため、新しいモデルが出るたびに試して比較しながら進めています。日々変化を実感しています。
- 業務外での社内交流はありますか。
飯田さん: 同期とも部署内のメンバーとも交流があります。AI戦略室のメンバーとは、今年1月〜2月にスノーボードに日帰りで2回行きましたし、部長も参加しています。
また昨年はデータサイエンティストのメンバーで山登りにも2回行きました。2年目で基本的には先輩方ですが、距離感は近いです。
同期についても、8月末まで研修が続いたおかげで関係が深まりました。データサイエンスの同期は自分を含めて4名ですが、IT全体では約50名おり、仲の良いメンバーと遊んだり飲みに行ったりしています。

- 入社後に身についたスキルと、今後身につけたいスキルについて教えてください。
飯田さん: 開発スキルはこの2年でかなり身についたと感じています。直近で身につけたいのはインフラの部分です。現在、デプロイ時のインフラ構成は先輩が担当していますが、そこにも詳しくなれば、自分でサービスを作って提供まで一気通貫でできるようになります。直近1年ぐらいでクラウドインフラのスキルを身につけたいと考えています。
- 社内で推奨されている資格はありますか。
飯田さん: 社内全体で資格支援制度があり、受験料は全額負担で、難易度の高い資格については講座代も一部支給されます。データサイエンティスト検定(以下DS検定)やG検定、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験などが対象です。私は一昨年に基本情報技術者試験、昨年G検定とDS検定を取得しました。
- 現在の会社に入ってよかった点と、ギャップを感じた点はありますか。
飯田さん: よかった点は、社内向けの内製業務であるため、業務の選択肢が広いことです。例えばAI-mを開発する際にも、開発を担当するか、インフラを担当するか、あるいは事業部と直接やり取りするプロジェクトリーダー的な役割を担うかを希望することができ、実際に希望通りにアサインされている実感があります。ギャップについては、まだ1社目ということもあり、他社と比較しないと見えてこない部分かもしれません。現時点では特に思い当たるものはありません。
- データサイエンティストを目指す学生や社会人への会社選びのアドバイスはありますか。
飯田さん: 自社サービスを持っている企業を軸に選ぶという観点は、個人的に良いのではないかと考えています。社内向けのデータサイエンティストとして働く場合、会社全体の課題感や各プロジェクトの背景が見えやすく、事業部との距離も近くなりやすいです。自社の課題を直接解決できる環境は、成長の機会も多いと感じています。
- 現在のお仕事の満足度を100点満点で教えてください。
飯田さん: 90点です。AI関連の開発スキルを身につけたいという希望通りの業務ができており、融通が利きやすい点が高評価の理由です。周囲にはレコメンドモデルやマッチングモデルの専門部隊、インフラに詳しいデータサイエンティストがおり、距離も近く相談しやすい環境が整っています。残り10点は伸びしろです。インフラや要件定義のビジネス力といった、今後さらに身につけたいスキルがあるためです。
- これからデータサイエンティストを目指す方々へメッセージをお願いします。
飯田さん: 自分は中学の頃からうっすらと、高校からは明確にデータサイエンティストになりたいと思っていました。AIやデータサイエンスは本当に面白い分野です。データから将来を予測できるだけでなく、技術の進化が速く、仕事をしていても最先端を走っているという実感があります。AIや最先端の技術を仕事にしたいという方には、ぜひその道に進んでいただけたらと思っています。

取材日:2026年4月8日
インタビュー:
データサイエンティスト協会 企画委員会
株式会社分析屋 池田
ライター:
株式会社BICP DATA 山田
株式会社Hi-Lights 清水
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データサイエンティスト歴:2年
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